会計士協会長、東芝巡り 監査法人に徹底議論要請

日本公認会計士協会の関根愛子会長は23日の記者会見で、東芝の四半期報告書提出が遅れている点について「監査法人は自分たちの納得のいくまで会社側と話すことが必要」と述べた。遅延は「協会としても注視している」という。関根会長は「(監査に)必要な手続きが完了しないとレビュー意見は出せない」と指摘した。

日経新聞より。

仰る通りかと思います。監査をしていて、ついつい会社側の都合で思考してしまったりすることがどうしてもありますが、監査法人としての使命というか、役割をしっかりと認識して果たさなければ、会社と共倒れになってしまいます。

最近は外部の監査法人に対する目も相当厳しくなっており、監査チームの行う手続の内容、妥当性、十分性についてかなり厳しくチェックされるようになってきています。それは、品質管理レビューといった形で実行されますが、これが相当細かいし厳しいのです。特に、監査上重要と判断した領域については、です。

チームの判断自体にまで突っ込んでこられるし、紙もしくはデータとしてきちんと残さなければ、『やった』とは言えませんので、これが監査工数を増加させている印象です。もとからやってなきゃいけなかったってことなんでしょうけど。

こういった事象も含めて、監査の厳格化の波は収まるどころか更に押し寄せて来ると思います。東芝が何を監査法人と揉めているのか詳細にはわかりませんが、会社側がきちんと事実を収集し、論理立てて説明をしないと、監査法人としても厳しい判断をせざるを得ないと思います。

特に実務で論点になりやすいのは、減損や税効果などの見積項目です。将来のことなので誰にも結果はわかりませんが、過去の経験則や、足元の企業の状況、すでに決まっていることなどの事実を整理して、『きちんとわかりますく説明する力』が会社側に求められています。監査法人は、要点や、自分達の気にする点について力を入れて手続しますが、独立性の観点もあり自分達で手は動かせないし、人員や工数制限があります。監査法人をすんなり納得させる技術があれば、全体の工数は減ると思います。

そのような、会計上の難しいマターや説明にも適切に対応できる人材を、企業側が育てなければならないということになりますが、これがまた難しくもあります。

最近は、企業内会計士が増えてきていて、これらに対応できる人材を企業内でも抱えようとの動きがあり、全体としてはとても良いことだと思います。会計とか監査が分かる人がいると、監査の進みも早く、監査法人としても有難いのです。これは監査人と経理屋を経験したうえで確信した事実です。

私は、監査法人のノウハウのうち企業にも役立つものを企業内に伝承できればいいなあ、と何となく考えています。具体的には、増減分析、分析的手続、監査の視点による証憑突合などの自己検証、監査調書のような体型だった資料整理、ドキュメントをつけて残す癖、見積項目への対処方法、などなど。最終的には会計基準に従って処理していくので、これらの専門知識の正確な理解も非常に重要になります。

色々書きましたが、これからの時代、上場企業に求められる決算レベルは、監査対応も含めて更に上がっていくと思われますので、経営者の方も、是非このあたりについても検討いただければと思います。