監査法人 辞めた その後

  • 2018年10月29日
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私が監査法人に入所してはや10年以上。

道中いろいろなことがありました。

監査法人を去りゆく人も数多く見てきました。

本日はそんな監査法人を去った勇者達の、その後についてフォーカスしてみたいと思います。

私のまわりの人が限定になりますので、情報の網羅性は確約できませんが、それぞれ実際に聞くことができた生の声で、よく聞かれるものをご紹介します。

(1)事業会社

・転職理由①

事業会社に移った人は、やはり「ワークライフバランス(人間らしい生活)」を求める傾向があります。

別に監査法人にいるから必ずしも激務に追いやられるわけではありませんし、また事業会社に移ったから必ずしもライフワークバランス(WLB)が取れるとも限りません。

しかしそれでも、確率的にはWLBを達成できる可能性はより高いものになるようです。

本当に人によると思いますが、人によっては殺人的な忙しさになりますので、そこを嫌って転職する人は、優秀な人でも多いと感じます。

あまりに多忙が過ぎると、身の危険を感じる部分があるのかもしれません。

監査法人組織としてのケアのあり方が重要なように思うほどです。

・転職理由②

監査法人内での昇格が難しいことも、転職のトリガーになるようです。

これはそのようにハッキリ言う人もいれば、自分では認めたくないあるいは他人に悟られたくないのか、あまり口にしない人も多いでしょう。

しかし、プロモーションが壁となって、キャリアチェンジのきっかけになることは多々あると思われます。

またあるいは、目標としたいような上司がいないことや、何かがきっかけで組織そのものに失望することを理由として転職する話もたまに聞きます。

一見ネガティブな理由にも聞こえますが、当の本人にとっては、とっても辛いことなのだろうなとも思います。

・辞めて何をやっているのか

会計士であれば、経理や経営企画への転職が多い印象です。

特に経理は監査経験との相性が良く、会社が苦手としがちな監査対応でも力を発揮して、しっかりと会社の考え方・スタンスを確立し、会社として正しく監査法人に主張することに大きく寄与する可能性が高いと思います。

・辞めた後の自己評価多くの方が、転職エージェントをしっかり活用して十分に情報を得てから転職しておられるからか、話を聞く限りでは概ね希望通りの転職になっているケースが多いように感じます。

転職後すぐに再転職というケースはあまり聞かない印象です。

ただし、どうしても文化的に組織になじめないとか、思っていた仕事と違う事ばかり担当させられるとか、残念ながら転職してからまもなく会社を離れる方も当然ながら一定数はおられます。

・年収

下がるケースが多いようです。

監査法人は報酬面では恵まれていますので、下がる年収とWLBのバランス感覚が求められることになると思います。

ただし、大企業への転職や役職付きでの転職を果たすことで、年収が逆に上がることもありますし、

たとえ年収が一時的に下がっても、その後の努力でプロモーションし、人生レベルでは給料面で取り返すこともあるかもしれません。また仮に年収が下がりっぱなしだとしても、その分家族とのふれあいの時間や趣味の時間、副業や自由の時間などWLB面で取り返すという考え方もあります。

個人的な経験値ベースでは、事業会社への転職が失敗だったと聞くケースは少ないですね。

 

(2)コンサル会社等

・転職理由

コンサル会社や投資銀行に転職する場合、どちらかというとよりチャレンジングな環境に突入する目的で転職する側面が強いように思います。

将来的には独立することを見据え、若いうちにできるだけの経験を積む目的で積極的に攻めていく人の話をよく聞きます。

監査法人のプロモーションとか、そんなのはどうでもいいことで、とにかく実力をつけるためにより修羅度の高い場所へ冒険する、まさに勇者的転職といえます。

・転職後何をやっているのか

コンサル会社によるのですが、システム系、会計系、M&A系、話を聞いた限りではいずれもとてつもなく激務の印象です。

しかし、だからこそ得られるものは大きいようで、特に外資系の大きな組織でこなす仕事はダイナミックで品質も高いことが多いようです。

忙しくて辛くても、精神的におかしくなってしまったりとか、そういった話はあまり聞きません(もちろん中には心身を壊したり、すぐに再転職する人もいますが)。

もともといろいろと覚悟をしているし、耐性もある人(というか自然と耐えられるようになってしまうようです)が転職している印象です。

ただし、聞いている限り、長くは続かないことが多いようで、何年か勤務してコツをつかんだり納得するところまで働いた後は、独立するなどまた自分らしい道に進むことも多いようです。

・年収

大手の監査法人と同じか、少し高いくらいの印象です。

これも入る会社によって異なるでしょうし、いろいろな前提によって変わりますので一概には言えません。

稼ぐ人は、特に外資系に入ればかなり稼ぐようです。

・転職後の評価

自分にコミットして成長を求めにいく分には満足度は高いのだろうと思います。

将来的な目標も決めておくとより良いかと思います。希望するアサインを伝えることもできますし。

くせのある上司にあたると、それが辛くてやめてしまうこともあるようです。コンサル系はいい意味でも悪い意味でも曲者ぞろいのようで、修行しに行く姿勢が必要と思われます。

いずれにしても自分の方向性と、やりたいことがちゃんと経験できる環境を整えるために、事前に転職エージェントを活用することが必要でしょう。

 

(3)独立

・転職理由

二つに分かれます。ポジティブな理由とネガティブな理由。

前者の場合、監査法人の後に会計事務所や、コンサルファームで経験を積んだ後の人が多い気がします。これをタイプAとします。

後者の場合、監査法人でのプロモーションがいまいちだったケースを聞いたことがあります。シニアマネジャーなどパートナーの一歩手前まで行った場合をよく聞きます。これをタイプBとします。

・転職後何をやっているのか

営業。これに尽きると思います。

タイプAとB、いずれも事業会社としては社長としての立場になりますが、

タイプAの場合はとにかく激しく動きまくっている印象。多くの経験・知識とあらゆる人脈を駆使して、自分のビジネスの拡大を狙っています。

タイプBの場合も、いろんな人脈を使いながらネットワークの構築に余念がない印象です。

最近では独立している会計士の方向けに仕事を紹介する会社もあり、いずれのタイプであっても監査法人で10年程度経験を積んでいる人であれば、今の情勢が続く限りはご飯を食べることはできる状態ではないかと思います。

タイプBの人は税務顧問をやる人、監査(常勤・非常勤)、決算作業の支援をやる人が多いです。顧客基盤の構築が何より重要です。

コンサル業務は、タイプAのほうが得意な印象ですね。タイプAは、システム、語学、人脈など・・・会計以外の何かしらに秀でていることが多い印象です。

人脈は、高校・大学時代の同期先輩後輩、監査法人など過去勤務していた時代の人脈を活かすことが多いように思います。もちろん、一期一会で常に縁や出会いを大事にする姿勢を持っています。

・年収

組織勤めではなくなるので、よりハイリスクハイリターンとなるのは当然です。

社長になって稼ぐ人は2本、3本と稼ぎます。

稼げない部類の人でも1本弱は稼いでいるのではないでしょうか。

今後、経済が停滞して冷え込んでくると仕事が減ることも想定されるので、景気の良い今のうちに独立して基盤を作ろうとする人が多いようです。

 

(4)会計事務所

・転職理由

監査法人だと監査くらいしか経験できないし、もっと小さなお客様に寄り添ってサービスを提供していきたいと考える人が、このタイプに多い。

・転職後何をやっているのか

基本、税務。

IPO支援やDD、価値評価もやっていることが多い。

・年収

大手の監査法人からは下がることが多いです。それも結構下がります。

・辞めた後の評価

業務的に満足しているパターンと、そうでないパターンがあります。事務所の規模が小さいから、やれることとやれないことがあるし、コンサル案件は欲しいものが常に浮遊しているわけではありません。

また事務所の所長との相性が重要のようです。

いわゆるパワハラや、ありえないほどの仕事量をふられることもあるようで、

それをどうとらえるかは人によって異なるとは思いますが、

転職エージェントなどを活用した事前の見極めが重要と言えそうです。

 

(5)総括

いずれの道に進むにしても、苦労はあると思います。

しかしせっかく会計士になったのであれば、どの道も楽しみながら自分の糧にしていきたいものです。

正直、どの道でも失敗はありません。

失敗したと感じる事象が起きたとしても、それは失敗ではありません。

ただの将来成功する根拠です。

他人が何を思おうが、成功でしかありません。

自分だけの人生を、他人の価値観で邪魔されないようにしてください。

 

転職する場合、事前にリスクを100%減らすことはできないかもしれませんが、

重要なのは転職前にしっかりとした筋から情報を得ておくこと。

転職エージェントの活用は必須です。

しかし、転職エージェントも商売ですし得意不得意がありますから、情報が偏ってしまうリスクがどうしてもあります。

そうなると、フェアな情報をもとに意思決定ができません。

したがって、複数のエージェントへの登録は必須です。

人によっては4社5社と登録します。

そしてよい転職先は常に転がっているわけではありません。

まさにご縁の世界ですので、日ごろから早いうちに情報だけは取っておくと良いと思われます。

そうすることで、成功する転職ができる可能性が1%でも高まるかもしれないのです。

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