事業報告等と有価証券報告書の一体的開示

  • 2017年8月26日
  • 2017年9月29日
  • 監査

JICPAは、事業報告等と有価証券報告書の一体的開示について、関係省庁と意見交換をしつつ独自に検討を行った結果を「開示・監査制度一元化検討プロジェクトチームによる報告「事業報告等と有価証券報告書の一体的開示についての検討」」として取りまとめ公表しました。

結構わかりやすく書かれていますね。JICPAはいい仕事をされています。

要点だけ以下に抜粋して記載します。

③ 一体的開示の取組により、会社法の事業報告等と金融商品取引法の有価証券報告書の記載内容が整理・共通化・合理化されれば、作成者及び監査人にとっては開示書類の作成及び監査の負担を軽減でき、株主・投資家にとっては詳細な開示書類を株主総会前に入手できる可能性が高まるなどの利点がある。
④ 一体的開示の方法としては、会社法と金融商品取引法のそれぞれの法令に基づく「二組の開示書類を段階的に開示する方法」と両法令の開示要請を満たす「一組の開示書類を一時点で開示する方法」が考えられる。後者の方法で、一組の開示書類として開示することになれば、作成者及び監査人にとっては、開示書類の作成及び監査の負担がより軽減され、株主・投資家にとっては、一度に必要な情報がまとめて入手でき、より利便性が高まるなど更なる利点がある。
⑤ 一体的開示における監査では、現行制度の監査でも同様の論点・留意点があるものの、一体的開示のため特に留意すべき点が存在する。監査上の論点・留意点は、一体的開示の方法として「二組の開示書類を段階的に開示する方法」又は「一組の開示書類を一時点で開示する方法」のどちらを採用するかで異なる。また、一体的開示の特有の論点として、比較情報及び過年度遡及処理の取扱いには留意する必要がある。一方で、後発事象の問題については、一組の開示書類として一時点で開示されれば解消されることになる。
⑥ 一体的開示に向けた実務が促され、効果的かつ効率的な開示の実現及び株主総会日程・基準日の合理的な設定につながることを期待する。今後も会社法と金融商品取引法の開示及び監査の一元化が実現できるよう意見発信を行っていく所存である。

個人的には、

④の後者の方法によったうえで、⑤の論点については会社法は監査対象を当期分のみにすればいいんじゃないかと思います。重要性の高い過年度遡及が発生したのなら、基本的には訂正報告書を出すことになりますので、比較年度も含めてもう修正するしかないと思います。

過年度修正は実務的にも例外的な話であっていつも出てくるわけではありませんので、後発事象の一元化というメリットもある(後発事象は、現行制度上、監査上も会社法と金商法でそれぞれ質問書と監査手続を経るので、正直めちゃめちゃ面倒です。)わけですから、過年度とか比較情報に時間を取られすぎることなくスピーディに制度変更が進めばいいですね!

ただ後発事象は修正後発事象をいつまでの事象に限定するかという難しい問題がある(現行制度では、会社法の監査報告書日までに発生したら修正するという一定の目安がある)ので、あらたに実務ルールも決めないとですね。

個人的には、修正後発事象というルールは実務運営上かなり鬼畜なルールだと思っています。修正するとなると、色々と大変なので。投資家保護は重要ですが、全て開示後発事象にしてほしいものです。他に色々方法はあるはずなのですが、何でそこまで面倒なルールにしたがるのか…。

あともう一点、逆に3月決算の会社で株主総会が7月とか8月になるのはどうなのでしょうね。情報としてかなり遅い気もしますね。第1四半期の数字がもう出ている中でというのは流石に・・・。