経理 つまらない?

  • 2017年10月26日
  • 2017年10月26日
  • 会計

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まえがき

基本的にどの会社にも経理部門・経理マンは存在します。

しかし、すべての経理マンがやりがいをもって、経理という仕事に取り組んでいるかというと、必ずしもそうでもないようです。

今回は、経理という仕事のやりがい・魅力と、

反対につまらないとすればどういうところがつまらないと考えられているのか、

聞いた話や実際の経理経験を交えて、考察してみたいと思います。

 

経理がつまらない理由!

経理がつまらないとされる理由には何があるでしょうか。

実体験を踏まえていくつか挙げていきます。

①所詮はバックオフィス業務ではないか・・・

企業の中にはいろいろな組織があります。

営業、生産、購買、人事、総務、経理・・・・

このうち、所謂マーケティング・営業・顧客系サービスなどといった、企業が外部と接点を持って関わることになる業務を”フロント(オフィス)業務”といいます。

企業外部と直接接するわけですから、まさに会社の顔となって外の世界と交渉・契約し、会社のビジネスをどんどん広げていく業務になります。

これには強いプレッシャーが伴うことも多いとは思いますが、その分やりがいがあり、

まさに自分が会社を大きくしていっている、収益をあげていっているという感覚を持つことができるのではないかと思います。

監査法人であれば、監査チームのパートナーやマネジャー、主査などがこれに該当します。

 

一方、その反対に生産管理、購買管理、在庫管理、人事、総務、経理といった企業内のいわゆる事務的な業務を”バックオフィス業務”といいます。

 

これをつまらないと感じる方がいるようです。

実は私もそうでした。

なぜならば、自ら収益を生み出しているという実感がないため、

自分のビジネス上の存在価値が、どうしても営業等のエネルギッシュな方々よりも劣っているのではないかという気になってしまうためです。

これは、「なんとなくそう思ってしまう」類の感情ですが、しかしヒシヒシと心の中に広がるやっかいな感情です。

もっと人と話をしながら、ビジネスをしていきたい!と思っている人ほどそう思うのかもしれません。

②細かい数字の話が多いし、ミスしたら大変だから気を遣う!

よく営業部の方なんかが口にするのが、「経理は細けえな〜、そんな細かいの、別にいいじゃん」というセリフ。

確かに、大きなビジネスをやっている人、お客様に気を遣う必要があり社内事情までは気が回り切らない人にとって、

一円単位で話をされると、そのような気にもなるのかもしれません。

経理とて、それこそ一円単位の話をしているとき、何だかなあと感じる時もあると思います。

一方、経理は金額の大きな話の時ほど気を抜けません。

たった1つの転記誤り、たった1つの数式違いが、物凄く大きな誤りになる可能性があります。

取引先との間で事実と異なるお金のやりとりをしてしまうリスクがありますし、

誤って税務申告すれば修正申告をペナルティ付きで提出することになります。

上場会社の場合、最悪訂正報告書を出すことになってしまいます。

しかも、税務とか会計の決まりというのは、非常に複雑で細かい。

実際決算を何度も経験して毎回思うことですが、凄いプレッシャーです。

これが嫌な人もいらっしゃるのではないかと推測します。

 

経理の機能!役割!存在意義!

では本当に経理は「ツマラナイ」のでしょうか。

これで本当にツマラナイだけの仕事なら、悲しいですね。

しかしご安心を。

経理はツマラナイ仕事ではありません。

一部分だけ切り取ってみると、そう見えるだけなんです。

以下、私の考える、経理の機能、役割について記載いたしますね。

①制度対応(財務報告・税務など)

経理はまず、各部門から情報を入手し、適正な決算を組む役割があります。

それ自体は利益を生みませんが、今の自社の状態を正確に把握して次の適切なアクションに繋げるためにも、

非常に大切な機能であることをあらためて認識しましょう。

上場会社であれば、外部からの質問に耐える理解力・分析力、外部への説明力が必要になります。

そして制度決算を正しく組むことは、それ自体がコンプライアンスになります。

 

②フロント業務の各種サポート(プロとして相談受付・組織内情報提供)

制度決算は、ある種やらなければならない仕事であって、できてるから物凄く褒められるかというと、そうでもありません。

(決算の精度が高いと、会計士や税理士、税務署からは非常に喜ばれますが)

私は、より真髄的には、このフロント部門のサポート機能が非常に大切なように思います。

フロントは、外部との折衝、投資案件や事業の方向性の検討などを、コンプライアンスを遵守しながら着実に実行する必要があります。

その中で必ずでてくるのが、自社の現在・将来の絵姿を数字で正確かつ端的に表現することです。

連結・単体それぞれの会計への影響の検討、税金に与える影響と租税戦略、事業の有効な管理の方法など、

フロントの人にとっては、頭が痛い論点が山積みです。

そんな時に、社内のプロフェッショナルとしての経理マンがいて、どんな相談にも乗ってくれたら、どんなに嬉しいことが。

いや、というか、そのような相談無しにビジネスを進めることは難しいと思います。

会計や税務は改正されることが頻繁であり、常に動向をキャッチして社内で展開できるのは、経理マンだけです。

まさに経理はフロントにとっては最高の相棒の立ち位置と言えるでしょう。

 

③経営管理(計画・分析・予測)

これは管理会計の分野でもありますが、事業計画の策定から分析、改善計画の検討まで、

やはり経理マンは大きな役割を果たします。

経営管理部や総合経営企画などの部門が事業計画策定の窓口になることも多いですが、

実際の会計数値や税金の試算、あるいは数的な異常のチェックなどに関しては経理の右に出るものはおりません。

というか、経理の協力や取り組み無しに、事業計画を策定することは不可能です。

原価計算や固定資産の管理、分析も然りです。

 

このように、経理は会社の中で大きな役割を担っているのです。

まさに管理の側面から経営そのものを実行しているのであり、

合う合わないはあっても、ツマラナイことはないと思います。

 

やりがいをもったプロの経理マンになるには!

では、私たちがプロの経理マンとして、仕事を楽しめるよう成長していくにはどうしたらいいのでしょうか。

ここでは私見ですがいくつか挙げます。

①プロ意識を持つ!

恐らく経理がつまらないと思う理由の1つとしては、

上記で述べた経理の真の役割がまだ自分の中でぼんやりとしているなどして、

目指すべき場所が定まっていないことが考えられます。

なので、目標をまずは探しましょう!

会社を変えたい、上司から仕事を奪ってでも仕事を多くこなして経験をつみたい、次の決算で作業時間を半分にできるよう工夫したい・・・

など、大きなものから小さなものでもいいので、何とか目標を決めるようにしてみてください。

目標ができれば、具体的にどうすればいいのか考えるようになります。

私はまずはこの状態になることが重要だと思います。

プロフェッショナルとして生きるのは、多くの努力と経験を積まなければなりませんが、

まずは目標を立てることがプロになることのひとつの条件ではないかと思います。

あともうひとつプロとして重要なのは、自分の仕事に対して、責任感を持つことです。

責任感・・・。本当に大切な要素です。

ぜひ高い目標と責任感を兼ね備えた人物を目指しましょう。

 

②数字を作ることが目的ではない!目的をもっと高いところに置く

経理の目標は最終数字を作ることではありません。

作った数字を使って、分析し、経営に役立てることが重要です。

実際は、仕事に追われてそこまで時間が取れないことも多いと思いますが、

まずは意識として数字を作ったその先に本当の目指すべき世界が広がっていると認識しましょう。

今の世の複雑な計算課程を経て算定された財務数値に関しては、本当にその意味を理解できるのは、経理マンくらいではないでしょうか。

なので、経理が作る→ほかの人が使う構図には限界があります。

経理が使う側にたってサポートする必要があります。

そのためには難しい会計事象等を簡単に・端的に表現できる力が必要です。

 

そして、経理マンは、経理的な知識を持ってフロントで活躍することを目指すこともできます。

私の経験的にも、本当に優秀な社長やフロントマンは、みな会計や数字に強い印象があります。

「あそこがああなってこうなって、・・・結果利益にこれだけ影響があって・・・今回の決算ではこれくらいの数字になるんじゃない?」

急にフロントの方に言われたことがありますが、ドンピシャで驚きました。

われわれ経理サイドも、ぜひこの数字を使い倒すという意識を持ちたいところです。

③経理を使うのが抜群に上手な社長や上司と働くことで如何に経理が意義深いかを知る!

②とも関連しますが、

会社の中には必ず経理を使いこなすのが上手な人がいると思います。

(いなければ、自分がそうなるしかないです。。。!!)

会社の誰かがあるプロジェクトなど何らかのアクションを取っていくのに、記録と分析は欠かせません。

これから業績をV時回復させようものなら、なおさらです。

一流の経営者が、どのように経理機能をうまく使って経営しているのか、絶対に見逃さないでください。

彼らは、とにかく経理に分析をさせます。

そして分析結果の把握と次のアクションまでのスピードが速いです。

そうするとみるみる会社の数字が変わっていきます。

経理機能って本当に大切だな・・・と感じた瞬間でした。

まとめ

経理がつまらないという感情は、誰もが抱くものかもしれません。

しかし、実際はつまらないと感じている暇はありません!

会社には、経理を必要としている人が沢山居ることに気付きましょう。

本書を参考に、是非高みを目指してみてください。

 

 

(おまけ)プラスαの経理のいいところ!

①転職で潰しがきく!

経理の知識や経験は、実は転職で非常に潰しがきくものです。

どの会社にも、必ず経理があるからです。

会計にしても税務にしても、勉強したことは絶対に損にはならないと思います。

どこで何が役に立つかわからないものです。

是非前向きに取り組んでいきましょう!

②会社のあらゆる情報に精通できる!

経理にいると、いろんな部門から情報を入手できるし、相談を受けます。

ほかの部署はこういう点で悩んでいるのか!というのが、ある種客観的に見れるのです。

会社全体を俯瞰できる、ともいえます。

この点を面白いと感じている方は多いようです。