「内部統制報告制度の運用の実効性の確保について」の公表

日本公認会計士協会(監査・保証実務委員会)は、「内部統制報告制度の運用の実効性の確保について」を平成30年4月6日付けで公表しました。

私が着目したのは、p.10の (1) 東証1部上場企業の要因別・区分別分析 ② 決算・財務報告プロセスの不備事例ですね。

大規模企業においても、(略)企業結合や見積り項目など、非定型・不規則な決算・財務報告プロセスでは誤謬が発生している。これは、(略)昨今の会計基準は益々決算処理が複雑になり、新たな見積り項目も増える傾向にあるので、(略)誤謬が発生することがある。具体的には、

・繰延税金資産の計上額を誤ったのはその正確性を検証する内部統制が不十分であったことが原因とされた事例、

・税金計算を誤ったのは子会社に税務に精通した担当者がおらず外部専門家も利用しなかったことが原因とされた事例、

・非定型的取引について会計処理を誤ったのは外部専門家を利用しなかったことが原因とされた事例がある。

これは本当にそうですね。

とにかく経理も監査人もゆっくりチェックする時間が無い!

誤謬というのは本当に怖くて、どこに潜んでいるかわからないものです。

発見に常に気をつけていますが、この誤謬を見つける技術を磨くことが重要だと感じます。

税効果、税金計算、企業結合については本当に注意が必要です。

あと、見積りについてもかなり説得力をもって根拠を並べる必要があります。たぶん大丈夫だろうとかいう理屈は全く通用しなくなってきていると感じます。見積りは本当に厳しくなってきていますので、決算に向けては十分に準備が必要です。

 

あと、p.25からはじまる4.ITの利用及び統制のところについても、

簡易的ではあるものの、具体的な話に突っ込んでいます。簡単にですが、ポイントはおさえられます。

このように具体的な見識を集めて自分の血肉にして、あらゆる事態を想定しつつ常に業務にあたって気をつけなければなりません。これは監査でも経理でも内部統制でも同じです。