税務研究会HPより。
主な改訂箇所は以下の通り。
第2編第1章 上場会社の決定事実 32.公認会計士等の異動 (1)上場規程に基づく開示義務 〔開示に関する注意事項〕 <改訂前> ⑤ 期中に異動する場合又は短期間で退任する場合には,異動の経緯を詳細に開示してください。 ↓ <改定後> ⑤ 開示に際しては,異動を行うこととした実質的な理由(任期満了時に退任を決定する場合は,退任する公認会計士等を再任しない理由)やその経緯を開示資料に具体的に記載してください。特に,期中に解任する場合又は短期間で退任を決定する場合には,期中又は短期間であるにもかかわらず,なぜ解任又は退任を決定することとなったのかがわかるように記載してください。 また,会計処理等に関する見解の相違が存在するといった事情がある場合には,その具体的な内容を含めて記載してください。 |
こちら一見、会計監査人へのプレッシャーを与えるような改正に見えますが、
実際は逆のケースも多いかと思います。
つまり監査人は通常、それ相応の理由をもって会計処理のおかしな点・疑義がある点を指摘します。
そのため、見解の相違が発生している状況というのは、もしかすると会社側に後ろめたい事情があるケースがある可能性もあります。
しかし、物事・事情は更に複雑で、会社側に後ろめたい事情がありつつも、同時に監査人側に以下のような課題点がある場合もみられるのではないかと思います。
・前期まで許容していた処理について、急に当期から認められないというスタンスに変更した
・クライアント側の問題で、想定したより監査時間がかかりすぎているから、監査の採算が著しく悪化している
・クライアントからの質問に、監査人が適切に回答できていないなど、全般的にサービス水準について不満を持たれている
つまり、会社も監査人も、双方で問題を抱えているのではないでしょうか。
そうなってくると、個人的には、「双方歩み寄り」の姿勢が大切かと思います。
会社側は、無理な会計処理を押し通そうとしていませんでしょうか。理論が整然としており、基準の趣旨に照らして客観的に問題ない事に関して納得感が得られていますでしょうか。監査人には、なるべく早めに余裕をもって相談することを心がけておられますでしょうか。また、決算資料を事前に約束した適切なタイミングで提出されておりますでしょうか。
監査人側は、自分たちの都合(ファームポリシーの類を含む)だけで会社に会計処理を押しつけていないでしょうか。自分たちの仕事がサービス業であることを自覚し、常に顧客の要求に応じた適切なバリューを届けることができていますでしょうか。ビジネスパーソンとして、謝るべき所で謝意を伝えられておりますでしょうか。
誤解がないように、はじめからお互いに率直に厳しいことも言いあって、良い意味での緊張感をもって、信頼関係を構築いくしかないと思います。
今回の制度変更は、実はこのような双方の歩み寄りへの努力を期待しているのではないかと、個人的には推測しています。