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これからの時代をどう生き抜くか
経済財務3414号にて、次期JICPA会長の手塚正彦によるコラムが記載されております。
非常に興味深い内容なので、是非ご一読をと思いますが、
以下、私が個人的に感じたキーワードを記載したいと思います。
「ありたい姿」・「あるべき姿」とのギャップの発見能力
監査人やコンサルタントに必要な能力の1つ目として、ギャップ発見能力が挙げられております。
これがすべての出発点であると。
そこから、そのギャップについて解消する必要があるのか、
必要があるとして、どのような糸口で解消していくのか、
影響の評価や原因の特定を含めて、まずは向かうべき方向性を正確に把握することが重要であると考えられております。
AIが得意なのは、発見能力側
しかしAIは、どちらかというと異常点や課題の発見において力を発揮すると指摘されております。
そのため、人間がやるべきこととして重要なのは、そのような発見の後のアクションになります。
会計士は、発見するだけではなくて、その後どのようにこれを解決していくかというところで、真価を発揮すべきとされます。
私も以前、AIに負けない会計士・経理パーソンになるためにという記事で記載したのですが、
その真価を発揮するためのコミュニケーション力が重視されると思います。
相手の納得を引きだす提案、言い方、誠実さを伝えること、段取りの良さなど、
企業のトップクラスとのコミュニケーションほど疲れるものはないのですが、
そこでいうべきことを言えるかどうかというのは、重要な資質なのだと思います。
監査に限らず、これは場数を踏むことによって獲得されるものでもあると思うので、
チャンスがあるたびに学習していきたいと思っています。
IT活用事例
よく指摘されることなのですが、例えば,小売業の店舗の将来事業計画の検討については、AIでかなり効率化されるとみられています。
企業側のものと見比べて,差があったら何か前提や計算が違うことになるため,
そちらについてどちらが現実に照らして正しいものか、議論するような実務が想定されています。
ここで未来の会計士として必要な能力は何にあたるのでしょうか。
この事業計画の議論が収束に向かうまでに必要になるであろう、各種の能力を整理します。
①クライアントの作成した事業計画とは異なる、現実的な前提に基づいて、対案となる計画を精緻に計算できる能力(監査人側の専門家)
②計算結果をもとに、クライアントの作成した計画の不合理さを誠実に説明し、クライアントの理解を得る能力(監査人側)
③監査人の指摘に対して、自社の計算が合理的であることにつき説明・反証する能力(企業側/企業側の専門家)
④監査法人の指摘を受け、監査人とクライアントの双方が納得できる事業計画を再度社内調整・作成する能力(企業側/企業側の専門家)
仮にこの4つの能力に落とし込んだ場合、AIが得意とするのは①④でしょう。
計算ツールのようなものが出回り、それに数値などを入れると計算ができるのかもしれません。そうなると、統計学の知識なしにサンプリングの理論を使いまわす現在のJ-SOX監査のように、計算自体は案外簡単にできてしまうかもしれません。
となれば、目指すべきは②や③となります。
③は、企業が、外部のコンサルタントに要求する能力の一つでもあります。
一つの考え方として、普段の業務の中で②や③の能力の開発ができているなー、と感じるなら、もしかすると転職や社内ジョブチェンジは安易に実施すべきではないかもしれませんね。
将来を考えるにあたって、最近よく言われるような何が好きか、何をやりたいかという視点も大切ですが、
上記のように、常に将来についてのアンテナを張りながら将来必要になるものは何かということを考えながら仕事をするのも大切ではないかという気がしてきました。