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株主総会 継続会とは?
不正会計が後をたちません。
これは、どの会社にとっても不正会計が起こり得ることを示す事実だと、私は思っています。
不正会計が起こった有事の際には、今流行りの第3者委員会による調査を経て事実関係を明らかにし、
決算に適切に反映したうえで、決算書を確定させるのが通常であると思います。
しかし、不正会計の発覚のタイミングが悪く、ちょうど決算に間に合わないタイミングとなってしまうことも、
実務的には当然に起こり得ます。
そのような、有事対応については、通常のところ、経験値が不足しがちで、現場の実務に混乱が生じることも多いと思います。
私たちのような、会計を生業にしている人間にとっても、例外ではありません。
今回は、仮に大きな不正会計が自社で勃発した場合で、ちょうど決算確定が通常通りのスケジュールでは間に合わない場合を想定したいと思います。
短信や有報は、証券取引所等に期限の延長を申請し、認められれば延長されていることが多いと思います。
では、株主総会はどうなのでしょうか。
今回は、決算が確定できない場合の株主総会の取り扱いについて考えてみたいと思います。
「継続会」というマニアックな総会
結論から言いますと、「継続会」という手段をとることで、
予定されていた株主総会の後、決算の内容について総会に提出する場を設け、株主の承認を得るという手続に経ることが可能です。
会社法
(延期又は続行の決議)
第317条
株主総会においてその延期又は続行について決議があった場合には、第298条(株主総会の招集の決定)及び第299条(株主総会の招集の通知)の規定は、適用しない。
ここでいう延期とは、”総会の成立後、議事に入らず、会日を後日に変更すること”をいい、
続行とは、”議事に入った後、時間の不足その他の事由により審議未了のまま総会を中断し、残りの議事を後日に継続すること”をいいます。
この延期または続行の議決に基づき後日開かれる総会のことを通常、「継続会」といいます。
不正会計による影響額の算定に時間を要する場合、通常これに対応する監査手続も慎重に行われるでしょうから、かなり時間がかかることが想定されます。
この会計監査を経なければ、決算として確定できませんので、この日程感を十分に踏まえたうえで継続会を設定することになると思われます。
影響調査に時間を要するなどして、「継続会」でも間に合わない場合は?
では、この「継続会」の開催が決議されたとして、
不正会計による影響額算定等が、この継続会の日をもってしても間に合わないようなケースについてはどうでしょうか。
この場合一つの手段として、「継続会」での報告を諦め、「臨時株主総会」により、あらためて株主の承認を得るという実務が考えられます。
臨時株主総会を開催する場合は、「臨時株主総会招集のための基準日設定に関するお知らせ」などとして、別途株主に通知することになります。
想定される対象会社
これらの特殊な株主総会対応は、上場会社についても勿論そうなのですが、
非上場の会社法監査が適用される会社においても、必要になってくる場面はあるものと思われます。
支配している親会社が上場会社の会社法監査対象会社や、あるいは上場を目指す上場準備会社などにおいては、会社法に即した手続というものが必要になりますので、
今回株主総会の知識として共有させていただきました。
なお、対応に追われる会計戦士の皆さんの労が少しでも軽減されることを願って、
継続会に関するプレスリリースはこちら、
その後の臨時株主総会に関するプレスリリースについてはこちらに、
それぞれ参考事例のリンクを貼っておきました。
本日は以上となります。