【G検定】会計士(文系)がG検定に合格したので、対策ポイントを解説します

【G検定】会計士(文系)がG検定に合格したので、対策ポイントを解説します

こんにちは

ファイターです。

今回は少し趣向が違いますが、G検定を受験した感想を記載したいと思います。

感想だけだとつまらないので、感じた受験のコツや、これから受験をされる方へのアドバイス(情報提供)も記載していきます。

いきさつ

私は普段公認会計士として仕事をしていますが、G検定を受験しようと思った理由は、以下のとおりです。

好奇心

最近、経理や監査業界でも活発に人工知能の研究が進んでいることは当然知っていました。

そして、人工知能は会計士の仕事を奪うなどと言われることが多く、「自分の仕事が奪われる」という危機感と、「使いこなせば自分の仕事や他人の仕事を減らすことができるかもしれない」という期待感が入り混じっている状態でした。

そんなわけで、現在活発に研究が進んでいる人工知能について、そもそもどのようなものか知りたいという思いが強い状態でした。

将来性

といっても、好奇心は私の心理状態に過ぎず、漠然としています。

私は、もし人工知能が自分の仕事を奪う存在にまでなっていくのなら、人工知能の技術に使われてしまう人生ではなく、これを理解して使う側になりたいという将来像を描くようになりました。

そこには、「テクノロジーにある程度ついていかなければ、将来が危ういかもしれない」という、予測があります。

考えてみれば、大昔はExcelなんかは無かったわけですが、現代においてはExcelができるだけで商売になるくらい、Excelのビジネスにおける存在感は高いものになっています。

それと同じで、人工知能を搭載したツールが世に出回るようになる未来を(勝手に)予見しました。このツールの内容を理解し使いこなせるようになるようになるのか、拒絶反応を示して旧態依然とした実務にしがみつくのか、近い未来においてどちらにいくのかの選択を強いられるような気がしました。

私は今30代ですが、40代、50代となっても会計士として仕事をしている可能性が高いでしょうから、上記のどちらに進めば自分が楽しく仕事をしているだろうかと、考える日が続いていました。

今後のキャリア(会計士×何かの模索)

よく言われることですが、すべての専門家は、自分がどの掛け算で戦うのか、考える必要があると思います。

会計士なら、英語やIT技術、M&Aなど専門領域が一般的だと思います。

私も、この掛け算の先(何芸人でいくか)について、毎日のように考えている状態です。(なかなか定まらない、というかこれといった際立ったものが無いので悲しいところですけど・・・)

しかし、この文脈で、「俺は会計士×AIを目指す」などと、短絡的なことをいうつもりはありません。

AIの開発技術を身に着けるためにPythonに手を出すのも面白そうですが、明らかに時間がかかりますし、具体的な成果目標がない中で新しい分野に心血注ぐのは時間を有効活用できないおそれがあります。

そこで、「今の実務をどうやったら機械学習でラクにできるか」という改善策を考えるための知識を身に着けることから始めるのは無理が無く持続しそうだと思いました。

話をまとめると、会計士としてAIに関連する知識を身に着けたいが、それはまずは身の回りの処理をAI化するためのアイデア出しのための道具として割り切って、それに必要な知識をまずは仕入れてみたかった、というのが一つに動機になります。

G検定受験は試験ですから、必要な知識を体系的に仕入れるのに最適で、今後の自分のスキルセット検討の方向性を示すものになるのではないか、と考えたわけです。

さて前置きが長くなりましたが、G検定の内容について記載していきたいと思います。

試験勉強

使用したテキスト

基本テキスト

絶対に外せないのが、こちらの公式テキストです。

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感想(6件)

おそらくG検定に必要な、基礎の基礎が織り込まれています。
まずはこちらを読んで体系的な知識を理解することが大切かと思いました。

第1章~第5章は、一連のAI物語という感じでサクサク読み進められるところです。「へ~そうなんだ、そういうことなんだ」と頷きながら読んでいました。

しかし、第6章、第7章あたりについては、読んでもチンプンカンプンになってくるところがあると思います。これらは、1回目の読書においてはいったん飛ばして、話の関連性だけおさえる、それこそメモリーツリー形式にして知識の体系をまとめていくことをおすすめします。何の話か、くらいを頭にとどめるイメージです。最終的には、ディープラーニングの手法や具体的な論点は避けて通れない箇所かと思いますが、最初から全てやると疲れてしまいます。

第8章は一番面白かったですね。他の業種の例を見てから自分の業界にあてはめると、「確かに異常仕訳の検出には、AIがぴったりだな」と納得することができました。

そして個人的には、第9章も興味深かった。これは職業柄、内部統制やコーポレート・ガバナンスについて考えることが多いためかと思います。「どのようにしてAIによるリスクを低減していくか」という視点で知識を身に着けるように努力しました。

問題集

基本テキストとセットでよく紹介されるやつです。

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基本テキストに負けず劣らずの完成度で、素晴らしかったです。

アウトプットをしながら理解を深めることができる仕様になっていて、説明もわかりやすい。

試験対策として、「出るポイント」や「コツ」にも踏み込んでいて、これは必携の書ですね。

間違えたところを中心に、2,3回は回しました。試験中参照できるように、必要に応じて付箋も付しました。

その他の教材

その他の書籍

あと、よく紹介されるのが以下ですが、私は買わなかったですね。

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ですのでこれらの内容はよく知りません。

AI白書は、一応買いましたが、あれを全て読むのは試験対策としては効率が悪すぎると感じました。

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むしろ、私が代わりに利用した教材はyoutubeです。

Youtube

ディープラーニングの学習を進めていくと、LSTMとかR-CNNとか、だんだん図とかイメージで理解しないと文字だけではわからない論点が多くなってきます。

そこで、Youtubeを利用することで、イメージで理解することができるので、時間はかかりますが学習効果は高まると思います。

個人的には、機械学習の意味内容を理解することが最も重要なtaskだと思いますので、理解を深めたいという思いもありました。

具体的にどのチャンネルを見たか、ご紹介します。

まずSONYのNAKAMURAさんのチャンネルです。

若干難しいと思うところもありましたが、実務イメージを膨らませることができるのでわかりやすかったですね。

 

そのほか、Able Programmingさんもわかりやすかったです。

ほかにも、多くのYoutuberがわかりやすく論点を説明されていますので、是非知りたいキーワードで検索してみてください。見ない手はないと思います。

勉強方法

試験勉強であるがゆえの、前提

G検定は、(実際はPC画面で受験しますが)ペーパーテストです。

しかも、短答式試験のような、4つの選択肢の中から選択する問題形式です。

さてここで、試験対策として重要な(個人的な)理解について共有します。

満点を狙う試験ではない

G検定では、120分という限られた時間の中で、200問もの問題数を解いていきます。

1問あたり36秒という世界です。

そして、上記のテキストから出題されるとは限りません。

テキストには記載されていないような、細かい話も出ますし、最新のトピックについても出題されます。

これらの厳しさを踏まえ、私は満点を取りに行く試験でないと認識しました。

合格率から考えて、「受からせるタイプの試験」である

G検定の合格率に関するデータは以下の通りです。(SD:JDLAのHP)

これを見ると明らかですが、G検定は、「受からせるタイプの試験」です。

会計士試験でいうと、「修了考査」がこれに該当します。

受験者の母集団はいずれも猛者達であると想定されますが、50%~70%が受かる試験に対して、合格するための戦略を合理的に考えていく必要があります。

重要な戦略ポイント

「みんなが出来ているところを落とさず取る」こと

基本、これができれば受かると思っています。

逆に、これができないと落ちる可能性が高いです。

そして、皆が出来ているところを取るためには、皆が出来るところが何処なのかをわかっている必要があります

私は、この「みんなが分かっているところ」は、上記の基本テキスト+問題集の2冊で身に着けることができると考えています。

おそらくですが、受験生の多くは仕事や学業と両立させて受験しているので、何冊も読んでいられる時間はないのではないでしょうか(大学等で研究している当事者の場合等は、別)。

多くの受験生が使用するテキストを使って、「通常の受験生はどこを取ってくるのか」をしっかり理解することが肝要ではないかと思います。

それを超えてくる難易度の問題は、ほとんどの受験生が解けないはずです。基本落としても大丈夫だと割り切りましょう。

よくSNSで、「知らない問題で難しかった」というコメントを見ますが、合否に関してだけいえば、あまり関係がないと思います。知らない問題は、できなくてもいいと思います。

ただし、G検定では試験場が自宅という事もあり、参考書を閲覧することができてしまう状態ですので、試験中でも可能な限りヒントを探して、何かしらの回答努力をすることは必要になると思います。当然、試験中にいきなりググって調べても、解けないものは解けませんが。

 

いかに易しい問題を瞬殺し時間を稼ぐか

前述のとおり、1問を35秒程度で回答していく必要があります。

中には、回答にもっと時間のかかる問題もあります。

そのため、定番の基礎問題については、瞬殺で回答していく必要があります。

そうやって簡単な誰でもわかる問題をできるだけ少ない時間で解答し、難しい問題に少しでも時間を割けるようにすることが大切です。

過去問

過去問研究の重要性

私は、過去問は、試験対策として最も重要な情報元だと思っています。

なぜなら、過去問は出題者の意思そのものを表しており、出題予測をするために極めて有用だからです。

平たく言うと、最近出ている問題が、繰り返し出てくる可能性がありますので、過去問は一度見ておくべきなのです。

しかし、なんと、実は会計士試験とは異なり、G検定では過去問は直接参照できません。

どっかの予備校が回答集を作っているわけでもありません。

しかし、ネット上のいくつかのサイトでは、過去問の一部や、例題を参照することができます。

たとえばカオカオさんのサイトでは、過去問の各問題の項目名だけ公表されています(内容はなし)。これを見て、どのようなものが出題されているか確認し、知らないキーワードは事前に調べて確認しておくだけでも、得点を上げる可能性が高まります。

実際、今回(2020年2回目)も、過去出た問題と似たようなものが大量に出題されていました。

過去問の分析は、やはりとても重要だと思います。これは簿記検定や会計士試験も同じなので、どの試験もそうだとは思いますが。

戦略まとめ

以上の戦略を図示すると、以下のようになります(あくまで個人の見解です)。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

G検定に合格しても、日々の業務が、自分の将来が、何ら変わることはないかもしれません。

しかし、試験勉強を通じて得られる機械学習の基礎知識は、これからやってくるかもしれないAI時代において、自分を環境により適合させるための第1歩になるかもしれません。

そして合格後に取り得る選択肢は、広がることはあっても狭くなることは無いと思います。

私は今後とも、一人の会計士として、AI時代への適合を試みていこうと思います。

また共有できることがあれば、投稿させていただきます。

読者様も、興味を持たれたら、是非G検定にチャレンジしてみてください。