持合株式縮小の傾向

  • 2017年7月17日
  • 2017年7月17日
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上場企業が取引関係の維持などを目的に保有する持ち合い株(政策保有株)を減らす動きが加速している。野村証券によると、2016年度末の保有比率は9.9%と初めて10%の大台を割った。政府が進める企業統治改革によって上場企業が株主に合理的な保有理由を説明できない株を持ちにくくなっているためで、多くの政策保有株を抱える商社やゼネコンなどが売却を急いでいる。売却資金を成長投資に振り向け、資産効率の改善と成長を同時に狙う企業も増えてきた。

2017/7/17日経より。

日本企業は昔から株式の持ち合いにより長期的安定経営を目指してきたとされていますが、最近は売却による解消が進んでいるようです。

考えてみれば、持ち合い株式の保有はいったい何なんだという気がします。売却目的もでないため、よくわからない「その他有価証券評価差額金」をBSに発生させますが、株価が下落すると減損損失のリスクを負います。安定経営のためとは言いますがいくら持ち合いをしたところで事業に失敗すれば倒産リスクはありますし、持ち合い株投資は経済合理性(企業価値増加)という観点から見れば、当初の投資目的からして非常に曖昧なものだという評価も成立するのかなと思います(これまではコーポレートガバナンスという世論自体日本では無かったから、なんとなく説明はできてきたけど)。

IFRSでは売却益は通常計上出来ない点も意識しているのかもしれませんが、ここにきて欧米型経営にまた一歩近づいていくというのが時代の流れなのだろうと考えられます。株式市場というシステムも、会計基準も、何もかも欧米から輸入して日本国内で発展させた経緯がありますが、投資や資金流入の国際化が進展し、今や経営も会計もグローバル視点でなければ、説明できないものになっています。加えてこれまでのような右肩上がりの経済情勢ではないため、日本企業は何を強みに、どのように稼いでいく必要があるのか、リスクは高いけど面白みのある世の中になっているといえるのかもしれません。ただ、勝ち組と負け組と言われるように、富める者とそうでない者の格差が拡大していくのは間違いないと思われます。これは会社レベルだけではなく、個人レベルでもそうでしょう。

個人レベルでも、これまでのようによい学校を出て大企業に勤めればOK,というような生き方を最終目標にするのではなく、どのように生きていくかという視点が大切になってきていると思います。(個人的には、偏差値の高い学校には、相対的に優秀な人が集まると思うので、そういう人と接することで自分を高めたい人にとっては受験勉強を頑張るというのは理にかなっているとは思います。)