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会計士を襲う現実
最難関国家資格の1つとされる公認会計士試験。
苦労に苦労を重ね、この会計士試験に合格し、晴れて監査法人に入所して、
どの合格者も、バラ色の会計士生活を思い描きます。
しかし、「現実はバラ色ではない。もう、辞めたい」と、多くの若手会計士が語りますよね。
今回は、その理由について、”現役の公認会計士の経験ベース”で語ります。
バラ色ではない理由は、以下のような悩みがあるからです。
会計士は一体何に悩んでいる?
悩み(1). 出世悩み(最小単位)
シニアとかマネジャーの昇格がうまくいかず、同期より出世が遅れてしまい、プライドがズタズタになる。
遅れた1年を取り戻すのは、容易ではない。
マネジャーに昇格するのにこれだけ苦労している状態では、(2)「パートナーへの昇格」など、とてもではないけど描き切れない。
悩み(2). 出世悩み(より大きな単位)
パートナーへの昇格の門が狭すぎて、シニアマネジャーで滞留してしまう。
または、滞留したらどうしようと考えて不安になる。
パートナーになるためには、”死に物狂い”で仕事をして、クライアントや社内に対して結果を出したとアピールし、存在感を認めさせなければならない。
しかし、それをやろうとすると、通常は(3)ワークライフバランスは取れないことが明白。
悩み(3). ワークライフバランス
仕事(時間外で対応せざるを得ない監査絡みのミーティングや資料作成、クライアントからの質問など)がありすぎてプライベートの時間が取れない。
なんだかよくわからないうちに毎日23時以降(場合によっては深夜早朝)まで働かざるを得ない。
男性であれば奥さんから叱られることが続く。
女性であれば出産や子育て、家庭との両立に限界を感じる。
既婚者で子持ちの人で通常の感覚がある人は、何のために生きているかわからなくなる。
果ては体調不良となる。
「なんでこんな働かないといけないんだ!?」
悩み(4). 嫌な上司、クライアント
妙にネチネチ細かい小言を言ってくる上司や要求水準が高過ぎる上司、能力が低いのに下へのあたりは厳しい上司、何故か監査法人が嫌いで厳しい経理マン。
仕事は一生懸命やってるのに毎日心が苦しい。。。
嫌な人はどこにでもいると分かっているけど、プレッシャーが強すぎる。
仕事が楽しくない・・・
これ以上、悩まないでください!
多くの優秀な会計士が、よくわからない組織の都合で悩んでいます。
これは、社会の損失じゃないかと思うくらいです。
本当は、悩む必要などどこにもないのです。
いくらでも取り返せます。
これらについて、私が考えるアドバイスは以下の通りです。
悩み(1)へのアドバイス:出世はただの社内イベントと割り切り気にしない!でも借りは返す”決心”をしましょう!
出世で悩むすべての会計士へ一番伝えたいこと。
それは、出世には入ったクライアント、一緒に仕事をする上司、クライアントとの相性など本人ではどうしようもない要素が加味されるということです。
これは組織である以上、仕方のないことです。まずはこの事実をご理解願います。
組織で働くことを選んだ以上、ここは覚悟をしましょう。
そもそも、出世を争う人間は、同じ会計士試験を通り抜けた、選りすぐりの優秀な人々です。
私の周りだけみても、自頭や能力だけみれば明らかにビジネスマン全体の平均値を超えるものを持っている人たちです。
なので、出世が遅れたからといって気にしないことです。
いや、絶対に気にしてはいけません。
気にした分だけ損ですよ(得るものが何もない)。
笑うものは笑わせておけば良いのです(まあ、誰も笑ってないと思うけど)。
もし出世できない原因が自分の中でもはっきりしていて、それが他人にはない自分固有のものだという認識があるなら、まずはそれを克服する方法を考えましょう。
出世というよりは、今後の会計士ライフのために、です。
でも出世に遅れたままだと悔しいという方もいらっしゃると思います。
そんな方は決心してください。
必ず見返してやりましょう。
監査で見返す必要はありません。
そもそも、監査法人の自分が全てではありません。場所が変われば生まれ変わったように活躍する人は沢山見てきました。
部門異動するもよし、転職するもよし、独立にチャレンジするのもよし。
蓄積された負のエネルギーは、見えないところで溜めておきましょう。
負のエネルギーでも何でも、自分を高めるために使えればそれでいいと、結果オーライだと、私はそう思います。
必ずあなたの出番は来ます。
努力を続ける人が一番強いです。
今はくやしさをバネに、立ち止まって考える時(チャンス)です。
将来、何をして闘っていきますか?
試験に合格してから、そのことを真剣に考えたことがありますか?
何をするにせよ、会計士として立ち回るのであれば、知識や経験は必要になります。
これからの闘いに必要になるであろう能力・実力を、着々とつけていきましょう。
その行動計画を練りましょう。
悩み(2)へのアドバイス:その通り!
お考えの通りです。
パートナーになれるのはほんの一握りです。
残念ながら、組織で働く=出世競争と闘うことなのかもしれません。
しかし、どこの組織に属していても、部長とか執行役員、取締役が大量生産されるわけではないですよね。
組織の要職は、必ず何らかの組織力学の結果として、少数精鋭に限定されます。
まずはこの”力学”、すなわち”自分は、自分の能力を超えているものと闘って悩んでいる可能性があること”に対して腹落ちしてください。
ところで、あなたの目標はパートナーになることでしょうか?
パートナーでなければできない仕事(例えば監査報告書へのサイン)や得られる報酬があるならば、何としても目指すべきでしょう。
ゴマすりでも何でもやるべきです。他人の目などどうでもいいです。
出世するために必要なことをすべてやりましょう。
しかし、もしパートナーになることが目標ではない、あるいはそれが目標というほどの強い意識がないなら、パートナーになれないことで悩む必要がありますでしょうか。
組織の力学が自分を拒絶し、居場所を奪うというなら、堂々と、かつ冷静に、転職や独立をして活躍をすることも視野に入れてもよろしいのではないでしょうか。
常に自問自答しなければならないことは、自分が何を目指しているか=何を成し遂げたいかということではなかったでしょうか。
パートナーになること自体が目標という方もいらっしゃるかもしれません。
私たちは肩書を重視する日本人だし、それを否定はできません。
でも、やはり「自分が何を目指しているか=何を成し遂げたいか」というところに軸が無いと、気持ちがぶれやすいところはあると思います。
目標もないまま監査法人内でなんとなく立ち回っていると、やりたいこともやれぬまま時間だけが過ぎていってしまうかもしれません。
目標が無い人を否定するわけではありません。それも一つのあり方かと思います。
けれど、目標を持つことで、パートナーになれない不安に費やすエネルギーを、切り替えて自分のために使うことが出来る可能性が高まると思います。
個人的には、パートナーのステータスの高さは素晴らしいと思う一方、やはりリスクも高くなりますし、制約も多いですので、パートナーになったらゴールという考えは少しずれている気がします。
パートナーになることが目的になってはいませんでしょうか?
パートナーになって何がしたいのか、という点を見据えないと、パートナー同士の競争になったときに方向性がぶれませんか?
不安=自分を見つめ直すチャンスです!
うまくいってる時は自分のことを真剣に考えたりしないものです。
落ち着いて、前向きに考えていきましょう!
そしてできるだけ早く、将来の輝かしい自分のための具体的な行動をしていきましょう。
悩み(3)へのアドバイス:残業で実力が醸成される側面も!しかしやり過ぎには注意
残業にメリットは無いのか!?
(2).で自分の目標について触れました。
目標を持つメリットは、自分の行動の方向性のブレが少なくなり、努力の質や継続性が増す点です。
毎日遅くまで仕事をしても、目標に繋がるのであれば我慢することができます。
この考えをもとに残業について考えてみたいのですが、ハードワークにメリットは無いのでしょうか。
答えは、あります。
目標のために必要な行動である限り、仕事をこなした量に比例して実力が醸成されます。
駆け出しの若いころは、何が将来自分に必要かなんて、わからないこともあります。
なので、最初は与えられた仕事を全力でやりましょう。
とてもこなせない量の仕事はどうする?
組織の都合で、とても一人ではこなせない量の仕事が舞い込んでくることがあります。
これが厄介です。
責任感の強い人ほど、残業に残業を重ねてしまいがちです。
上述した残業のメリットを感じられるうちは無理もできるかもしれないのでいいのですが、
仕事はそうメリットのある業務ばかりでもないため、いつか限界がきます。
そこで重要になるのが、仕事量のマネジメントです。
個人としてできることとしては、以下の対策が考えられます。
①難易度は低いが時間のかかる仕事を、他の誰かにお願いできないか?
POINT
*振られる人に対して、無茶ぶりにならないように(不幸な人を増やさない)
*振られる人の時間があいてそうなタイミングでうまく投げる(同じ仕事でもタイミングによっては悪夢にもなる)
*丸投げはご法度なので、レビューの仕方も含めて考える
②重要度の低い仕事を後回しにできないか?
PONT
*何をどの期限までにやらないといけないか、スケジュール管理をまず行う(ざっくりでもいい)
*仕事の重要度の判断がつかない場合は危険と考え、すぐに相談する。
③そもそも、仕事を削れないか?
POINT
*過去踏襲型の業務はないか。あったとして、本当に必要か?
*仕事の目的が、その業務を行うことで達成できているか?達成できていないとして、改良/削減する必要はないか?
*上司を巻き込んで話を動かしていけないか?
④上記でも解決できない場合、組織に相談できないか?
ワークライフバランスにおけるポイントは、①②③を如何に増やしていくかです。
①は、同僚や部下、上司、場合によってはクライアントにお願いできる作業があるかもしれません。
②③はタスク管理ができていることが前提になります。本当に必要な仕事なのかどうか、計画など入り口時点で合意を取るアクションも重要になるでしょう。
それでも解決できないものは、個人の力量を超えている可能性があります。
そのように感じた場合、責任をもって組織に解決を相談しなければなりません。
これはマストです。
そもそも仕事は、プロジェクトや業務が無事に完了されることが目的なわけですから、できるだけそのゴールに向かって一直線で動きましょう。
これを断るような組織は危険です。
組織が非協力的であれば、また一つその組織の実態を知ることができるかもしれません。
どうしようもないのに、組織が非協力的な場合
実際には考えられるケースです。
絶対に知っておかなければならないのは、残業が原因で心身を壊してはならないということです。
一般的に、1ヶ月の時間外労働時間が100時間、もしくは6ヶ月間の平均労働時間が80時間の場合が過労死ラインとされています。
何が何でもこの状況は避ける必要があります。
自分が不幸になると、結果的に組織も不幸になるのです。
にもかかわらず、組織が非協力的な場合。
部署異動希望を出すか、もう転職を検討しましょう。
とにかく自分の価値観を可能な限りはっきりさせて、行動をしましょう!
譲れないポイントはやりがいですか?ワークライフバランスですか?専門性ですか?
自分の人生を決めるのは自分です。
人生は0か100かではなく、色々な要素が複雑に絡み合っています。
そのため常に、自分自身による意思決定・判断が必要になります。
自分のために、勇気を出して決断をしなければならないときもあると思います。
悩み(4)へのアドバイス:他人は変えられないから、自分を変えていく
人間関係の悩みは、どの組織にいても発生します。
まずこれを受け入れましょう。
良いとか悪いとかではなく、組織で働くならこれは避けようがない事をまず認識しましょう。
そしてこれもよく言われることですが、変えられるのは自分だけです。
本当に他人は変わりません。都合良く変わってくれるのを見たことが無い。
では、どのように自分を変えればいいのか?
どう変われば良いかについては、個々人のケースによるので私からここで記載するのは難しいですが、大枠は書籍が教えてくれることが多いですよ。
私のおすすめは斉藤一人(∵スピリチュアルなようで、実は極めて実務的・実践的)ですが、
他にもたくさんおすすめはありますので本屋さんかamazon・楽天に助けを求めてみてください。
どうしてもうまくいかなければ、監査チームを変わったり、部署異動を希望したりしてみてください。
それができなくて辛いなら、転職も検討されればいいと思います。
転職するにあたってはいろいろと大変なこともあるので決して安易に転職をすすめるわけではありませんが、
辛くてしょうがないのに行動が起こせず、自分を傷つけることになってしまうのが一番辛くて大変かなと思いますので、いったん動いてしまうのがいいです。
私の経験をお話します。
嫌な人と働いているときがありました。
毎日本当にブルーで、精神からくる体調不良も経験しました。
病んでしまって、体調が悪すぎて職場に行けないのです。
もともと楽観的な性格だったのですが、さすがにこれは危険かもしれないと思いました。
でも、藁にもすがる思いで本を読み、
「他人を変えられないこと」
「発生した事象と、それに対して反応する自分の心の2つが別々のものであること」
「すべては自分の心が決めており、かつ自分の心を変えるためにできることがまだまだあること」
を知りました。
それで、その時は転職まではいかなかったです。
嫌な人とも何とかお付き合いして、そしてその後配属が変わりました。
嫌なことも経験しましたが、上記のような処世術も身に付きました。
今後同じような嫌なことがあったときでも、思い出して対処することができると思います。
後で気づいたのですが、嫌な人は、その練習台だったのです。
私の人生の貴重な練習だったのです。
その時はつらいが、乗り越えれば財産にもなり得るものだと思いました。
自分を守るためのアクション
組織人の宿命として、
出世の壁があること、
嫌な人との業務が起こりうるということ、
個人としてのアクションに限界があるのに組織が非協力的なこと
があることについてわかりました。
最終的には、居場所がないから、納得できないから、自分を守る必要があるから、
転職という選択を考慮せざるを得ないことがあります。
これらの動機は、いわゆる、より自分を高めるためというポジティブな理由とは相反する、ネガティブな理由に属するのかもしれません。
しかし、自分が味わったこの想いについて、世間に理解を求める必要はないし、同意を求めてはいけません。
動機がポジティブかネガティブかなど、どうでもいいことです。世間話にしかなりません。
自分にとってもっと重要なものがあるから、それを守るために会計士は転職を決意します。
あらためて気づかされる、組織人としての宿命。
全てを受け入れて悩んだ末、転職を決意する場合、きっと道は開けていくと思います。
個人的には、転職サイトに登録して情報を取得しないことは、損だと思います。
なぜなら、転職にベストなタイミングを逃してしまう可能性があるためです。
正直どこも似ていますが、事業会社への転職を目指すなら、上場企業であるMS-Japan社をおすすめします。
弁護士・公認会計士・税理士の求人・転職なら【MS-Japan】
繰り返しですが、難関資格を通り抜けた選抜者が、意味の分からない組織の理屈で苦しむのは、社会全体で見たときに本当に無駄だと思っています。
すべての悩める会計士が救われることを祈っています。