日経より。
この件はすごく話題になっていますね。
会計基準は後追いで作成される面がどうしてもあるので、新しい取引については個別に監査法人などに問い合わせるのが一般的です。
その問い合わせに対して、各事務所は費用処理でなくていいとの回答をした?ようですが、話は一転。基準化の際には、費用処理でどうだという公開草案が出されました。
これに対し、先に問い合わせて取引をしていた会社が猛反発しているというわけです。
どちらの主張にも一理あります。
以下私見というか感想を記載します。
役員だろうが従業員だろうが、それが本人の意思に基づこうがそうでなかろうが、将来の株価の上昇へ向けて会社へ追加のサービス提供しているという側面は少なからずあるとは思います。
予約権を入手した後、株価が下がったり倒産したら元も子もないので、そうならないような具体的なアクションの一つとして、会社への貢献度、ロイヤリティを高める行動が発生する側面は全く無いとは言えないと思います。
反対に、企業側としても何の見返りもなく従業員に対してストックオプションの制度をわざわざ用意するという説明は、個人的にはしっくりきません。
福利厚生であったとしても、従業員の働きやすさ、やる気の増進等を狙い、長い目で見て従業員のパフォーマンスを引き上げつつ、投資を回収、利益を増幅していく行動と考えられるからです。
このあたりは、公開草案では以下のようにして触れられています。
17(4) 企業が従業員等に対して勤務条件が付されている有償新株予約権を付与する場合、一定期間のサービスの提供を期待せずに当該権利確定条件付き有償新株予約権を従業員等に付与する意義を合理的に説明することは通常困難であると考えられるため、勤務が要求されている期間のサービスの提供を期待して当該権利確定条件付き有償新株予約権を付与しているものと考えられる。 また、企業が従業員等に対して業績条件が付されている有償新株予約権を付与する場合、業績条件が満たされないと権利を得られないことから当該権利確定条件付き有償新株予約権の付与は権利確定日までの間のインセンティブ効果に結び付き、権利確定日までの追加的なサービスの提供を期待して当該権利確定条件付 き有償新株予約権を付与しているものと考えられる。 20. なお、本実務対応報告では、ストック・オプション会計基準第29 項6と同様に、勤務条件及び業績条件が付されている有償新株予約権が従業員等から受ける労働や業務執行等のサービスの対価(ストック・オプション会計基準第2 項(4))として用いられていないことを立証できる場合、当該権利確定条件付き有償新株予約権は、ストック・オプション会計基準第2 項(2)に定めるストック・オプションに該当しないものとすることとした(本実務対応報告第4 項ただし書き参照)。
脚注6 ストック・オプション会計基準第29 項において、次のように記載されている。 |
ちなみに、上位の「対価性が存在しないことの立証」について注記を打っている会社を調べたところ、主に株主比率の調整など、資金取引であることが明確な場合のようでした。
そんなわけで、有償だから勤労意欲は関係ないでしょうというのは、いささか論理がスキップされてる気がします。お得なものは金を出してでも手に入れるでしょうから。
ということで、個人的にはどちらかといえば公開草案に賛成ですが、、、
実務的・心情的には、会社のそりゃ無いぜ感は非常に深く同意できます。
というのも、新興企業は費用処理しなくていい前提で有償ストックオプションを発行しまくってきたというのが経緯のようだからです。
監査法人に事前に確認したけど、基準化の際には異なる処理を要求される・・・。
できるだけそういうケースを発生させないようにしないといけませんよね・・・。
当時、会社の意や雇用情勢を踏まえて費用処理しなくていいと世論付けられたのかどうなのかはよくわかりませんが、今回の決着そのものよりそれに至る経緯やプロセスが気になるところです。