【訂正報告書事例】メタップス 17 年8月期四半期連結 誤謬

株式会社メタップスは、公表した 2017 年8月期四半期連結財務諸表について誤謬があることが判明したようです。これを受け、10月20日において、誤謬の訂正を反映させた「平成 29 年8月期決算短信」を公表しました。

会社HPより。

誤謬内容は2つ。

①連結子会社の一部の売上認識時点が早すぎた

②子会社株式(支配を喪失しない)の連結上の売却差額相当額の処理誤り

①の内容は以下の通り。

子会社が展開する電子クーポン事業の売上の計上方法について、一部 IFRS の基準 にそぐわない処理があったことが判明いたしました。

電子クーポン事業において、販売時、使用時、使用期 限及び消滅時効(5年)というタイミングがあり、その中で、一部取引の売上高について、本来収益認識すべ きクーポン使用時ではなく販売時に行われていたため、当該取引について、収益認識をクーポン使用時に変更 し、売上から前受金に振り替えました。

また、原価が発生しないクーポン失効益の認識時期をクーポンの使用期限から債権の消滅時効が経過するまで繰り延べることとしました。

詳細は不明ですが、内容が大切なので以下推測。

会社(連結)は広告売上、決済代行サービスを主な収益として注記していますが、電子クーポン事業なるものがあり、これに関して処理が違っていたように読めます。

いずれもIAS18、IFRIC13(カスタマーロイヤルティ・プログラム)に基づき、義務の履行時に収益認識するようにあらためるということかと考えられます。

②の内容は以下の通り。

子会社である Metaps Plus Inc.の一部株式を海外投資ファンドに売却いたしました。 その際の契約に付与された買戻条項を、IFRS において負債計上すべきところ、当該処理が見落とされていたことが判明いたしました。この結果、資本剰余金から負債へ約 557 百万円の振替となる見通しです。

支配喪失しない子会社株式の売却取引のようで、差額を資本剰余金で認識していましたが、買戻条件がついていたため実際は単なる金融取引(単に金が入ってきただけなので負債とする)というのが正解のようです。

買戻条件は契約書にぽろっと書いていたりすることがあるので注意が必要ですね。通常の財や固定資産の販売時に加え、セール&リースバックなんかでも論点として登場します。

なお単体では子会社株式売却益を計上しているようです。ここは誤りなしとしています。しかし単体でも利益を認識していいのかは疑問ですが・・・???(検討の結果、消滅の要件は満たしたのだと思いますが)

①②のいずれも注意したい論点ですね。