企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」等に寄せられたコメント

  • 2017年11月15日
  • 2017年11月15日
  • 会計

ASBJは11月6日、企業会計基準公開草案第61号「収益認識に関する会計基準(案)」(平成29年7月20日公表)、企業会計基準適用指針公開草案第61号「収益認識に関する会計基準の適用指針(案)」(平成29年7月20日公表)に寄せられたコメントを公表しました。

 

いろいろな企業や団体・個人からコメントが寄せられていますが、

その中でも自動車大手がこぞって「有償支給取引」について共同?のコメントをしていました。

まとめると以下になります。

(案)によれば、有償支給取引は買戻契約に該当し、金融取引として在庫を引き続認識するとともに、支給先から受け取った対価について金融負債を認識することが求められる(設例 32)。

しかし、どのような条件が実質的に買戻契約該当するか否の判断基準が示されていない中で、本設例のみで会計処理を決めることは、支給品に対する支配が実質的に支配先に移転している有償支給取引、または、金融取引としての性質を有していない取引にまで広く本設例の処理が求められるおそれがある。

そのため 、個々の有償支給取引が買戻契約に該当するか否の判断基準および 設例 32 の対象外とする場合を追加で設けるべきと考える。

 

これは、自動車業界だけではなく製造業全般にとって関連のある論点なのではないでしょうか。

在庫を引き続き認識する場合、発注者の在庫管理が必要になるけど、それは不可能に近いというのも大きな話。

有償支給に関する支配の移転に関する実務的なあてはめもこの場で公開されているので、こちらを参考にして理論武装することもできるかと思います。

 

最終的に顛末がどのようになるかを後に検証できるよう、争点となっている適用指針69項(案の抜粋)の辺りを以下記載しておきます。

(7)買戻契約
(企業が商品又は製品を買い戻す義務(先渡取引)あるいは企業が商品又は製品を買い戻す権利(コール・オプション))69. 企業が商品又は製品を買い戻す義務(先渡取引)あるいは企業が商品又は製品を買い戻す権利(コール・オプション)を有している場合には、顧客は当該商品又は製品に対する支配を獲得していない。
当該商品又は製品を当初の販売価格より低い金額で買い戻す契約は、企業会計基準第13 号「リース取引に関する会計基準」(以下「リース会計基準」という。)に従ったリース取引として処理する。当該商品又は製品を当初の販売価格以上の金額で買い戻す契約は、金融取引として処理する。
買戻価格を販売価格と比較する際には、金利相当分の影響を考慮する([設例27-1]及び[設例32])。

70. 買戻契約を金融取引として処理する場合には、商品又は製品を引き続き認識するとともに、顧客から受け取った対価について金融負債を認識する。顧客から受け取る対価の額と顧客に支払う対価の額との差額については、金利等として認識する。

71. オプションが未行使のまま消滅する場合には、当該負債の消滅を認識し、収益を認識する。

割り切ってしまっているからある意味シンプルですが。