2017年全上場企業「不適切な会計・経理の開示企業」調査結果

東京商工リサーチは、2017年全上場企業「不適切な会計・経理の開示企業」調査を公表しました。

ポイントは以下の通りです。

◼️2017年(1-12月)に「不適切な会計・経理(以下、不適切会計)」を開示した上場企業は53社で、2016年の57社から社数は4社減少。

◼️不適切会計の開示企業は、調査を開始した2008年の25社から9年間で2.2倍に増えた。2017年は2016年に比べ4社減少したが、依然として高水準。

◼️なかでも東証1部上場の増加が目立ち、2017年は調査開始以来、最多の30社を記録した。

内容別では、経理や会計処理ミスなどの「誤り」のほか、会社資金の「着服横領」を開示する企業も後を絶たない。

また、厳格な運用が求められる企業会計で、会計処理に誤謬が発生するケースも見られる。

◼️産業別では、最多は「製造業」で、半数を占めた。

◼️適正会計に対するコンプライアンス意識が求められる中、不適切会計は高止まりしている。

最近のコンプライアンス意識の高まりを受けて、そもそも誤謬や不正を発見する機会が増えているのだとは思います。

また、同時にそのような意識の高まりにより、これまで誤謬でなかったものが誤謬として扱われるケースがあるのかもしれません。

コンプライアンスの高まりにより、誤謬や不正が減少している側面があるため総数は減少しているのかもしれませんが、まだまだこれからといったところでしょうか。

全上場会社ということで、3600社が母集団とすると、50社というのは確率にして1.3%です。

ごく少数とも考えられるのですが、毎年100社に1社と考えると緊張感のある数字です。

そして私が最も注意をよせた記載が以下です。

経営側に時価会計や連結会計などの厳格な会計知識が欠如する一方、現場でも適切な対応をできずに会計処理を誤る事例も生じている。これは事業のグローバル化にガバナンスが機能しなくなったり、会計処理の高度化や現場の人手不足などが背景にあり、こうした状況を改善できない場合、今後も不適切会計が増える可能性を示している。

まさに今私が持っている問題意識の一つです。

しかもこれらのうち相当数は、「もう少し注意していれば防げた」類の、勿体無い誤謬に基づくものなのです。

会計士の時間も無限にあるわけではなく、むしろ(制度対応上の雑務に追われて時間を浪費していることもあり)きわめて少ない時間での検証を余儀なくされているため、すべてを発見しきるのは難しいとも考えられます。

私としては訂正事例の紹介という形で、今後もできるだけ推察と思料を重ね、少しでも皆様にとって有意義な記事を目指したいと思います。