【有価証券報告書 注記の訂正事例でわかる作成/記載要領】東建コーポ 営業職報奨金の期間帰属

概略

アパート・賃貸マンション・貸店舗の企画・設計・施工から仲介・管理・経営代行まで行なう総合建設企業、東建コーポレーション(東一)は、2018年6月に、平成30年4月期決算の作業過程において、販売費及び一般管理費が過少に計上される等、報奨金の期間帰属に誤りが生じていることが判明し、過年度の決算を訂正することを発表しました。

早速内容を見てみます。

※以下内容は、筆者の推測を含む内容である点、ご容赦ください。

当社の平成30年4月期決算の作業過程におきまして、営業職社員に支払われる報奨金に係る会計処理に一部誤謬があり、当社の過去の決算において、販売費及び一般管理費が過少に計上される等、報奨金の期間帰属に誤りが生じていることが判明致しました。

当社では従来、報奨金の支給時期に費用を計上しておりましたが、監査法人との協議の結果、これを受注契約時に計上するべきものと判断致しました。

この「報奨金」にについて、何かヒントはないものかと思い、同社のページを見ていると、以下のような記述のある個所がありました。

営業部員は受注を取れば、営業報奨金が得られ、自身も評価される(抜粋)。

どうやら営業報奨金とは、営業マンが受注を獲得した際に得られる、受注コミッションのようなものであると推測されます。

社内規程の内容まではさすがにわかりませんが、受注が確定した場合に、従業員への支払が確定的になるタイプの支出であるとすれば、確かに受注時に販管費処理(確定債務か引当金かは別途検討するとして)する性質のものかもしれません。

まさに、受注を獲得するためのの費用でしょうから。

このようなタイプの支出を計上する場合は、他の会社でもあるのではないかと思いますので、

同じような制度がある場合には、費用の計上漏れが無いか、留意したいところです。

なお、このような支出については、IFRS15の適用上、”契約コスト(契約を獲得するために生じたコストのうち、仮に契約が獲得されなかったならば発生しなかったであろうコスト)”への該当の有無と、資産計上の要否について検討が必要であろうと思われます。

本日の教訓

営業報奨金が、何を基準に支払われるのか、いつ費用処理が必要になるのか、留意する。