経営財務3396号にて、”【座談会】KAMをより意義あるものとするためには何が必要か”なるものが記載されています。
この記事は面白かったですね。
関係者は必読でしょう。
作成者・利用者である三菱商事の増CFOと、監査人である住田会計士の討論に、
KAM制度に対する不安と疑念、そして微かな期待が浮き出ています。
その中でも、私は増CFOの懸念に強く同意しています。
何のためにKAMを導入するのか、という点について、
①これまでの制度の延長線だという考え方、
②アラート情報であるという考え方
の2つが交錯し、熱い議論となっています。
増CFOは②の立場。
私も、普通に考えて世の中が期待するのは②だと思います。
そして監査は世の中の期待に応えるための制度であると考えると、
②を無視するかのような①の理屈は、それって何のためなんだ!?と思いますし、
例えばのれんの減損についてあれをやったこれをやったなどと記載して、
それが一体投資家に何をもたらすのかと思ってしまいますね。
確かに、監査のプロセスを記載する意義はあります。
各論点に対して、どのような保証が得られるのか、読めば分かるようになるのはメリットでしょう。
しかし、投資家が監査人からのレポートに期待するのは、そこではない。
それを期待ギャップといい、監査人が啓蒙するものであると、教科書は教えてくれました。
しかし実は期待ギャップなどではなく、単に監査制度が無用の長モノだったとしたら、どうなのでしょうかという話ですね。
監査人はそうならないように、努力するしかないということなのでしょうが。