上場会社等における会計不正の動向(2019 年版)

日本公認会計士協会ホームページで「経営研究調査会研究資料第6号「上場会社等における会計不正の動向(2019年版)」の公表について」等が公表されています。

JICPAが企業の開示事例をもとに集計・公表したものであり、事業会社も知りうる内容になるとは思いますが、以下世間話のネタになるかと思った点について記載します。

★”会計不正の公表会社数は各期によってばらつきはあるものの、おおむね毎期30社前後で推移している。”とのことですが、上場会社がざっくり3000社とすると、毎年1%以下程度の確率で不正が明るみになっていることになります。

同じ会社で不正が2度と起きないと仮定すると、100年程度で全社一周するペースですね。

★この1%をどのように捉えるかにもよりますが、こちらはJ-SOX制度が始まってからの統計であり、内部統制制度の限界を示す一つの指標になっているかと思います。

JICPAの資料にはありませんが、J-SOXが導入された2009年頃からだいたい年間30社程度の不正事例が発生しているようで、J-SOXの存在意義懐疑論が語られることもあります。

★ただし、会計不正の発覚経路として、内部統制の割合も多くなっているようで、ここにJ-SOXの意義を見出すこともできそうです。

★当該資料にもありますが、公表される不正事例は氷山の一角にすぎません。

実際に、不正自体は発生しているが、少額等投資家の意思決定に影響を与えないため公表はしないケースも多く見てきました。

それらのケースが、たまたま少額だっただけなのか、あるいは内部統制が効いているから少額なケースのみ噴出したのか、どちらの判断もできるものも多かったです。

いずれにしても、具体的な原因を把握して、防止策を練るということ以外にやるべきことは無いと思います。

不正の調査結果等を見ても、「ふーんそうか」で終わってしまうことは多いかと思いますので・・・。