監査法人で悩みながら「企業内会計士」が気になる3つの背景

Contents

増える「企業内会計士」

2018年1月19日付の日経新聞記事に、「増える「企業内会計士」監査法人から年500人が転職 」なる記事が出ておりました。

この記事は、事業会社などで勤務する「企業内会計士」が着実に増加していること、それは会計士業界に変化を起こすこと、社会にとって望ましいことなどを指摘しています。

今回は、増える「企業内会計士」について、そのメリット面を中心にあらためて記載したいと思います。

なぜ今、企業内会計士なのか?

記事によれば、「監査法人・税理士法人以外で働く会計士が加入する「組織内会計士ネットワーク」の登録者数は17年に1612人と12年比で3倍となった。」とされています。

しかも、「勤務歴が10年未満の若手が転職するケースが目立っている」とのことです。

一昔前(10年ほど)では日本においてはあまりメジャーとは言えなかった、このような会計士の変化は何を示しているのでしょうか。

背景① 監査法人の変化 → 重労働監査と昇格の困難さ

私は、ここ10年ほどの監査法人の変化が大きいと思っています。

ここ10年ほどの大きな出来事といえば、有名企業・新規上場企業の不祥事や、これにともなう大規模監査法人の再編、J-SOXの導入、四半期制度の導入、IFRSの任意適用増加、制度変革や景気変動にともなう採用市況の著しいアップダウン、コンプライアンス違反とその反省からの法令重視傾向など、まさに激動の時代と言っても過言ではありません。

これは時代の変化を反映しての制度変更になりますが、監査法人の中身もこれにあわせて大きく変わっています。

監査はより組織的になり、金融庁や会計士協会、海外の提携ファームも監査の要求水準をあらためて高めてきています。

結果、形式的に書類や理屈を整えるためだけの手続の増加など、クライアントの心に響かない業務が爆発的に増加しました。

現在の重労働はこうした監査人の都合による手続の増加がひとつの原因となっています。(ちなみに、監査人の立場からすればこれらは合理的な行動であると思います。ただ、クライアントサービス向上を目標とする会計士にとっては、それを受け入れられない人がいることは事実なのです)

また、(特に大手における)監査法人におけるパートナーへの就任が、一昔前と比べて格段に難しくなりました(それでも事業会社に比べればたいしたことは無いかもしれませんが)。組織的な政治力や説得力のある実績、海外赴任や特殊業務の経験、大型クライアントをこなす実績、多くの稼働時間など、名実ともに認められた一部の人間だけがパートナーに就任します。

パートナーになれずに滞留すると、あとは後輩に抜かされていくだけです。

パートナーになるために犠牲にするプライベートの時間も少なくありません。よほどのスキルがない限り、評価されるためにはハードワークが求められます。仕事に徹することが出来る人ならいいのですが、会計士も人間ですので、プライベートくらいゆっくりと過ごしたい人も多いのです。バリバリ仕事はしたくても家庭の事情で仕事だけに100%専念することが難しい人もいるのです。

記事にあるとおり、このような事情によって、今自分に何が起こっているか、将来どうするのか考えるべきことに気付いた人が組織内会計士に興味を持つのは当然の流れなのかもしれません。

背景② 企業の変化 → 社会からの要求水準が激増

会計士が監査法人の外に目を向ける事情がある一方、企業側としても会計士採用のニーズは高くなっています。

これには、企業には様々な力学が働き、圧倒的に優秀な人材は営業や生産、経営企画など主要な事業部門に配属される(あるいは本人が希望する)ことが多く、結果経理には経理を希望する優秀な人材と、経理は希望しないが適性のある人材が多く集う傾向にあります。

しかし、近年のJ-SOX、四半期、IFRSなどの制度の負荷増大により、これらの主戦力となる経理マンが制度対応に追われ、本来やるはずの部下の教育や自発的な業務に十分な時間を割けないことも起こります。これは大企業もそうかもしれませんが、それより小さな会社でよく起こる事象です。

また、働き方改革の名の下に、若手人材の残業規制は厳しくなり、終わらない仕事は主戦力である課長や管理職がこなさなければならない事象も発生します。

要するに、人手不足です。

そんな中で、企業は、2010年くらいから少しずつ社内会計士の採用を進めました。

その結果、公認会計士は監査法人として来る場合には厄介者としてネガティブに受け入れることが多いけど、企業内戦士としては非常に優秀であることを知るようになりました。

会計士は監査も経験しているため、監査対応も柔軟にこなせますし、会計理論と実務を柔軟にこなすことができる、非常に稀有な存在なのです。事業会社は、このような人材を育てることに非常に苦労をしていますが、外から会計士を採用すれば、即戦力として期待ができるのです。

これは、出向という形で大手監査法人と有名企業が人材交流を交わした結果急速に広まったものではないかと推測していますが、結果的に公認会計士の一つのキャリアの広がりとして定着することになっていると思います。

まさに組織内会計士は、世の中に貢献する重要な働き方の一つといえると思います。

背景③ 会計士の変化 → 自分の適性を踏まえて積極的にキャリア構築する時代へ!

また会計士自身が、自分のキャリアについて非常に柔軟に考えるようになったことも大きな変化かとも思います。

会計監査のみならず、事業会社での勤務やコンサルや税務、人によっては起業や事業そのものをこなす人が、インターネットなどを通じて積極的に意見発信することで、公認会計士の可能性の広がりが、監査法人勤務の会計士の胸にも大きく刺さる傾向にあるのではないでしょうか。

悩める会計士へのアドバイス

個人的な経験からも、事業会社での経理や経営企画系の経験は、やって損するものではないと思います。

経理を経験すればいかに経理マンが大変な思いをして組織や数字と格闘しているかわかりますし、企画系の業務をやれば制度対応のみならず管理会計や将来予測、数字を使った説得にも時間を使う機会も増えるため、会計をより理解することにも繋がります。

監査で培った能力を、イカンなく発揮できる環境が、あるのです。

また監査のみならず、M&Aや海外赴任など、多くのチャレンジングな業務にも幅広くトライできます。

その中で、様々な外部専門家との出会いもあり、非常に刺激的な世界が広がっているのです。

しかも、通常は監査法人ほどのハードワークにはなりません。労働時間はコンプライアンスにより、適度に制御されていることが多いからです。

ここから先は監査法人で悩んでいる方がお読みください。

監査法人で悩む時間も大切ですが、具体的に行動し、情報収集することが建設的なアクションになるのではないでしょうか。

私は、まずは転職サイトに登録して、積極的に情報収集することをおすすめします。

以下リンクのうち”MS-JAPAN”は最近東証1部に上場しており、事業会社の案件を多く扱っていると思います。私も登録し、かなりお世話になりました。かなりの求人情報を提供頂き、自分のことをより深く正確に知ることができました。

また”マイナビ会計士”も業界では有名なプロフェッショナルエージェントです。

自分のことほどよくわからないもので、誰かに話を聞いてほしいものですが、意外と監査法人の人には相談できないものです。その点市場を熟知したエージェントに、監査法人にとどまらず、会計士が活躍するフィールドの全体像について、より広い視点で本当のところを聞くことができました。

実際に面談すれば、今の自分の悩みに対してアドバイスも受けれることもありますし、何より自分を本当に必要としている会社と出会い、ともにお仕事をするご縁を得られるチャンスがあることに気づけるのです。

しかも、登録や相談自体は無料です。

別に無条件に転職をすすめるわけではありませんし、事業会社のデメリットや嫌なことが無いわけでは決してありません。

でも私自身、ろくに行動せずに、時に自分を責めながら監査法人で苦しむ時というのは、本当に辛かったのを覚えています。

なので、同じように苦しむ人がいたら、そんなに自分を苦しめないで欲しいと思います。

監査法人という閉鎖的な世界で自分を苦しめるのではなく、

広い視点を持って、今後の人生に希望を持って進んでいくためにも、どうか変に悩みすぎないようにしてほしいと思います。

具体的に行動すれば、ひとつ次の自分が見えてきますよ!

立派なあなたに幸がありますように!

経理財務・人事総務・法務の求人・転職なら|管理部門特化型エージェントNo.1MS-Japan

企業内会計士の転職成功事例が多数!マイナビ会計士