従業員不正 藤田エンジニアリング

藤田エンジニアリング(株)は、従業員不正の事実と、これに伴う過年度法人税等の計上について公表しています。

幸い訂正事例には至りませんでしたが、手口を知ることや対策を考える目的で今回も筆をとらせていただきます。

なお調査委員会は、会社の取締役や監査役で構成される内部委員会のようです。

Contents

経緯

平成29 年11 月の税務調査において、過去約7 年間にわたり、従業員1 名(以下「元従業員」という)が、当社の工事外注先への発注額を水増しし、その一部を不正に受領して着服したと共に、これとは別に工事原価として購入した機器を転売していた事実が判明した。

不正内容

①キックバック (着服額127 百万円)

特定業者への外注取引について、見積・検収などに係る元従業員の職位・職権を利用して、業者からキックバックを受け着服していた。

②機器転売 (着服額56 百万円)

施工と無関係な機器を特定業者に発注し、受け取った機器を転売して得た代金を着服していた。また、元従業員は当該業者や配送会社に出向いて直接機器の受領を行うなど、不正が露見しないように隠蔽工作をしていた。
なお、これら着服した金銭の使途は飲食等の遊興費であった。

手口の考察

かなりありふれた手口になりますが、そのようなものでもこうやって実際に発生してしまっております。

典型的な着服については、起こりえる可能性に着目して内部統制を構築することが必要と言えると思います。

未だ不正が起こらぬうちに、どこまで適切に仮説をたてられるかが勝負かと思います。

発生原因と再発防止

だいたい予想はつくものですが、敢えて調査結果を以下記載します。

元従業員は、業務プロセスを管理する立場にあったために、一定の範囲について牽制機能が働きづらく、また、高い専門性を求められる業務であったことから人事的なローテーションが永く行いづらい状況にありました。本件不正行為は、このような職位・職権を利用した策謀によるものです。

管理職の立場で不正を実行できてしまうのがまず問題でした。

規模の大きくない会社であれば人員がどうしても限られてきますので、非常にリスクが高いのではないかと思います。

また人事ローテーションも定番ですね。

ローテが不十分だと⇒担当者が変わらない⇒不正のリスクupの無限ループを繰り返す可能性があります。

一度不正に手を染めたら、基本的にはバレるまで続けるしか無くなるので、如何にローテーションの仕組みを整えていくかです。これは職務分掌し、役割分担を組織の中で進める以上、避けて通れません。

最近は、経理部の中で担当業務のローテーションを進めていらっしゃる会社さんも多いように思います。

専門性が高い業務は、どうしても一部の担当者や課長クラスにとどまりがちですが、ある作業を1から10まで実行するときに、専門知識が何個も何個も必要になるとは限りません。

その業務を実行するにあたって必要な知識やノウハウを、作業をしているその時に残すという意識がまず重要ではないでしょうか。一つ一つ、部下の方に伝承していく必要があります。部下の方も積極的に学ぶ姿勢が必要です。

最初から引継ぎを将来行っていくことを前提に業務にあたらなければ、後から修正するのは非常に骨が折れます。

かならず最初から引継ぎを意識をする必要があると強く感じました。

なお、会社の再発防止策は以下の通り。確かに発注・検収を、発注者である元従業員が出来てしまうというのは極めて危険なことです。かならず購買担当を経由させるか、チェッカーの確認を受けるべきでしょう。

 ・発注・検収手続の見直し
 ・仕入先、外注先を対象とした通報制度の制定
 ・定期的な従業員、取引先への聞き取り調査
 ・従業員及び取引先に対する倫理教育

影響

・当局から税務上の原価否認額289 百万円を指摘されており、当該指摘を受け入れる予定。

⇒本来着服金は会社の負担とすべきではなく、税務上も否認されるということかと理解しました。

・平成30 年3 月期において、当該原価否認額についてこれを元従業員による損害額とし、元従業員に対する未収入金を計上すると同時に貸倒引当金を計上。

・これを主因として過年度法人税等91 百万円(当第3 四半期において計上した65 百万円を含む)及び加算税等32 百万円(租税公課に含む)を計上。

まとめ

長期間担当業務のローテーションがされていない場合、キックバックの可能は高くないかどうかについて、思いを寄せる!