毎年、監査提言集というものが公表されています。
2018版も最近出ていまして、一般向版は誰でも閲覧出来ます。
監査提言集が何かというと、一言で言えば、「監査の失敗事例とその反省集」になります。
本来、監査の失敗などというのはあってはならないことで、ましてやそれを取りまとめて公表するなどというのは、自分達を苦しめることにならないか?一体どういうことなのでしょうか?
理由は簡単で、
提言集に記載された情報は圧倒的に情報としての有用性が高く、社会への貢献度が高いからだと思っています。
そこそこ具体的に粉飾の手口と、それを見抜けずにいた理由、ストーリー、改善策が語られていまして、実際の事故を体感できるものになっています。しかも、膨大な量です。
ただし、監査の反省集ということで、若干監査の手の内を見せるところがあるので、基本的には会計士に詳細を報告している形がとられているのではないでしょうか。
一般にも公表する協会の姿勢は、懐が深いものだと思います。
まあ、最近は組織内会計士も増えてきて、経理の人が簡単に詳細版にアクセスできる環境が整ってきた背景もあるのかもしれませぬが。
さて肝心の内容ですが、結論としては、会員でない方は、詳細版をなんとか手に入れてご覧いただきたいと思います。
一般向の提言集は、ハッキリ言って、内容を端折り過ぎていて、見てみても何のことやら、よくわからないと推測されるからです。
やはりある程度ストーリー仕立てになっていないと、普通は頭に入ってこないと思います。
事案の難易度も様々だと感じていまして、これは気付けないとダメだろうというものもあれば、極めて高難度と思われる事案もあります。個人的に大切だと思うのは、これは気付けないといけないだろうと思うような案件です。同じようにプロが監査して、結果としてそれでも気付けなかったとすれば、そこには何かしら理由があると思うのです。その理由を軽視せず、謙虚に分析を重ねて次に活かすことが重要だと思っています。
この提言集の発想は素晴らしいと思い、個人的に訂正事例に学ぶシリーズを続けてます。
ただ、訂正事例の情報に関しては、あくまで企業が自主的に開示した内容までしかアクセス出来ませんので、さらに突っ込んだところまで見たい場合には、提言集を使うなり、金融庁の出している不正事例を参照するなりする必要があります。
ところで誤謬については、意外と提言集では網羅的に触れられていないのでは?と感じています。
不正対応も重要かと思いますが、個人的には誤謬をいかにして防いで行くかということろにコダワリがありますので、このブログでも出来る限り情報発信していきたいと考えています。
何か世に役立つものをご提供できればと思います。