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アニコムホールディングス 有報で写真やグラフを活用

      2019/07/17

アニコムホールディングス 有報で写真やグラフを活用

経営財務3415号にて、アニコムホールディングスが有報の開示を相当頑張っている旨の記事が記載されていました。

何が特徴なのかという点については、記事で大きくは以下のように触れられていました(簡単に引用)。

1.統合報告書のように代表取締役のメッセージを写真つきで掲載している。

2.「従業員の状況」では,通常の表形式に加え,グラフを用いて従業員数,女性従業員数および同社の事業で重要な獣医師数の推移を示し,読み手のわかりやすさを重視した開示を行っている。

3.今期の有報から新たに記載が必要な株主総利回りの推移についてもグラフを活用して開示している。

なるほど、確かにこれまでの有価証券報告書ではあまり見られなかった工夫が多いようです。

これは一度は見ておきたいな、ということで同社の有報(2019年3月31日を決算日とする期の有報)を見てみると、

追加で以下のような気づきがありました。

他にも特徴的な箇所があった

4.挿入される表の標題部分が、緑色で網掛けされている。

記事にある、”表の一部のカラー化”とはこのことかと思います。

しょうもない話と思われるかもしれませんが、個人的にずっと疑問でした。

なぜ有報の表の標題部分は、網掛けされていないのか!?です。

網掛けしたほうが、明らかに見やすいので、読み手に配慮するという意味では、入れたほうがいいと思っていましたが、

公式の文書だからか、無機質な印象が逆に必要なのかな、とか思っておりました。

答えは、「別にやってもよかった。」ということですね。

ただ、個人的には黒字で記載するなら、もう少し薄い色で塗りつぶすほうが好みです。

5.ビジネスモデルの説明が詳しい

3【事業の内容】において、通常より結構細かめに事業についての説明が記載されています。

同社は主にペット保険を取り扱う保険事業会社で、具体的には以下のような事項が記載されていました。

■コア事業の契約内容の説明

・取扱商品(契約)の説明(図入り)

・販売チャネルについての説明

・保険金支払についての説明

・保険募集体制、保険金支払体制について図入りでフローを説明

■コア事業以外の事業については文字だけで概要説明

 

ビジネスの理解を求めるような真摯な姿勢を感じることができます。

6.役員一覧において、全員の顔写真が掲載されている。

記事にもありましたが、せっかく一覧にしているのだから、確かに顔写真を掲載したほうが興味がわきますね。

この点は、統合報告書や招集通知などで記載されることも多いのですが。

 

7.経理の状況において特に図は挿入されていないが、分析は詳しめ

さすがに経理の状況において図を挿入したり、分析資料を挿入したりはしていないようです。

 

財務数値については、【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】の箇所で、

以下のような図表を挿入したうえで分析記載がされていました。

・収益と利益をグラフ化

・セグメント別の収益増減分析を細分化したうえで記載

・新規契約獲得件数の推移のグラフ化

いわゆる通常の「やらされ開示」がみえみえな会社に比べると、

それなりに分析の説明も突っ込んでいる印象がしました。

思ったこと

最後に思ったのですが、

このようなわかりやすい記載をすることは大変意義深く、有報を意味のあるものにしようとしている金融庁の思惑と一致することはとても理解できました。

その一方で、いわゆる組織構造やビジネスが複雑な大企業がこの開示をやるとなると、結構大変な作業になるなと思いました。

また、記事にもありましたが、有報は法定開示書類ですので、万が一誤りがあると、大変です。

そのリスクをわざわざ取るのか、それでも投資家への情報開示を重視して手間をかけるのか、については企業判断もわかれそうですね。

投資家が何を知りたがっているかについて、企業側で十分に研究することも大切ではないでしょうかね。

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