前回(会計士 出向)では、監査法人に在籍しながら事業会社に出向するメリットとして、
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①監査法人のツールを利用しながらも、
②会計に関する論点に時間を多く割ける
という点をご紹介しました。
今回は上記とはまた別の3つめのメリットについて記載したいと思います。
③視野が広がる
✔会計士として仕事をしていると、ついつい会計士が世の中の中心であるかのような錯覚に陥り、気が付けばクライアントの不平不満や、自分の仕事への文句を口にしたりしていることって、よくあると思います。
しかし実際、会計とか監査というものは、会計士側だけでは成立しないものです。
クライアントとしての立場というものを体験して、初めて見えてくるものがあります。
例えば、以下のようなものです。
・監査をしている間は気が付かなかったけど、仕訳を入力するときすごく緊張する→∵誤るとどういうことになるかよくわかっている→どうすれば誤らないようにできるかについて真剣に考えるようになる
・法人税や消費税を理解していないと、そもそも仕訳が切れない
・会社は管理会計目的等も含め、いろいろと工夫して仕訳を切っている
・監査をしていた時には興味がなかった、管理会計的な視点に異様に興味がわいてくる。というか、経理業務とは「集めた情報を用いて如何に会社を管理していくか=管理会計」が重要なテーマであるということに身をもって気付く
・経理がなぜあんなに会計士に質問したがるのか、なぜあんなに急に回答を欲しがるのか、なぜ適時に指摘事項をあげないと怒るのか、身をもってよくわかる。
・クライアントへのサービスとして、会計士にどのように動いてほしいか、どのような知識を提供してほしいかという需要側からの感覚を持てる。
✔また、監査法人時代には知り合うことのなかったであろう会社をとりまく様々な立場の方々、例えば、
・外部であれば銀行の営業担当や外部委託業者、税務調査官(反面調査含む)、顧問税理士や弁護士、新聞記者やアナリスト、関係会社の方々
・内部であれば営業や工場など現場部隊の偉い方々からそうでない方々や、役員クラスの方々(いずれも監査対応時のではなく、素の状態)
などと直接やり取りする機会があることも、視野の拡大に大きく貢献するところかと思います。
個人的にはこの視野の拡大というところが最も大きな利点のように思いました。環境を変えて、新たな世界に飛び込んでしか得られなものというのがあるのだなあと思ったものです。
次回はさらなるメリット(残り)についてできるだけ生の意見をお伝えしていきます。