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上場廃止の全体感
最近いろいろ案件があったので、少し気になって調べてみました。
東証に上場している会社が、過去どれくらい上場を廃止したかです。
上場廃止といっても、いろいろな理由があります。
単に合併しただけとか、そういったものも多いので、
・合併など、ある意味「仕方ない」事象を直接の原因とするもの
・破産など、実質的に会社の運営が厳しい状況に追い込まれて廃止となったもの
・粉飾など、会計を含むまわりを原因として上場廃止となったもの
が気になった次第です。
結果概要
結果は、以下のとおり。
※集計時点=2018年3月某日
わかったこと
集計してみてわかったことがあります。
それは、上場廃止件数のうち、ほとんどが完全子会社化・株式の全部取得によるものであること。
いま、知りたかったのは「粉飾決算等を原因とするペナルティとしての上場廃止がどれくらいあるのか」にありますが、
結論からいえばそのような事例はほとんどないということです。
ほとんどが企業による買収等にともなう子会社化による上場廃止が占めています。
なので、上場廃止とかよく言いますが、会計的なものを直接の原因とするものは滅多に起こっていないということですね。
件数でいえば、上場会社が3500社以上ある水準からすると、きわめて小さな確率になります。
つまり、不正等を原因として第3社委員会を立ち上げ、場合によっては訂正報告書を提出したりしているわけですが、多くの場合は上場廃止にまでは至っていません。
それは、厳しい上場審査を潜り抜けてきた上場会社ですから、監査法人とも相談しながら責任感を持って過去の決算に反映するなどして事案に対して適切に対応をしているからであるとも考えられますし、裏側で監査法人などの関係者がよく指導機能・アドバイス機能を発揮している部分もあるのかもしれません。
※あくまで誤解のないように言わせていただきますが、「上場廃止に至っていないから大事ではない」などといいたいわけではありません。
たまに大きな粉飾事件が起こったりしますが、多くの企業は決算に対して真摯に対応しているのではないかと思います。
ごく微力ながら、自分も少しでもそれに貢献できるようにしていきたいと思いました。