先日、株式会社ジーエヌアイグループという会社から訂正報告書が発表されたのですが、その提出理由が以下のとおり記載されています。
当社は、2017年7月に行われたM&Aにおいて非支配持分の所有者に付与した売建プット・オプション(NCIプット・オプション)に関連したIFRSにおける会計処理として、2017年12月期第3四半期の決算手続を進める中で、当該NCIプット・オプションを国際会計基準(IAS)第32号第23項の定めに従いNCIプット・オプションに係る金融負債を計上し、その金額相当を資本から差引くという会計処理を社内で検討しましたが、その会計処理の必要性に関する会計監査人との議論が不十分であったことから、最終的にNCIプット・オプションの会計処理を2017年12月期第3四半期以降の連結財務諸表等に反映させずに提出しておりました。
2019年12月期第1四半期の決算手続を進める中で、当社の会計監査人より、2017年12月期第3四半期以降の当該NCIプット・オプションに関連したIFRSにおける会計処理に誤りがある旨の連絡を受けました。当該NCIプット・オプションを再検討した結果、国際会計基準第32号第23項の定めに従いNCIプット・オプションに係る金融負債を計上し、その金額相当を資本から差引くという会計処理が適切な処理であったことを再認識しました。従って、当該NCIプット・オプションに係る金融負債の計上及び同額を資本から差し引くという会計処理に修正することにいたしました。
これらの決算訂正により、当社が2019年3月29日に提出した2018年12月期(自 2018年1月1日 至 2018年12月31日)の有価証券報告書の記載事項の一部を訂正する必要が生じましたので、金融商品取引法第24条の2第1項の規定に基づき、有価証券報告書の訂正報告書を提出するものであります。
以前もNCIプットオプション(以下、NCIPO)による訂正事例を2件ほどお伝えしました。
【有価証券報告書 訂正事例】非支配持分の所有者に付与している売建プット・オプションに係る金融負債
【訂正報告書事例】アウトソーシングNCIプットオプション(IFRS)
極めて恐ろしい事態だと思いますので、再三の掲載になりますが、今回も掲載します。
今回の発生原因について訂正報告書に記載の内容を読んでみると、
どうやら会社と監査法人との間でミスコミュニケ-ションがあったようにうかがえますね。
時系列で考えると、
①過去、対象となる事象が発生した
↓
②会社はNCIPOの処理について今回の修正後の処理を想定して検討した
↓
③・・・が、監査法人との議論が不十分であった
↓
④今回、監査法人から誤りである指摘を受けた
ということで、
①→②は良い感じなのですが、
②→③で協議しきれなかったのか、
③→④で監査法人が急にひっくり返したみたいになっています。
どちらに原因があるかどうかはこれ以上検討しません。
それよりも、今回の反省材料があるとすれば、②→③の流れですね。
会社が監査人の結論を待っていたがなかなか出してくれなかったなら、果たして決算発表できるかどうか検討すべきだったのかもしれません。それくらいインパクトのある話だったからです。
今回の顛末だけ考えると、当時においてしっかりと監査法人と協議をして結論を出すべきだったのだと思われます(決算のお尻が見えているので、発表せざるを得なかったという事情はあると思いますが・・)。
これは何も、この事例だけではないと思います。他人事とは思えません。
個人的にも、非常に大きな反省材料として受け取っています。
ちなみに、③→④の流れは、これはここでコメントは避けます。
この事実をどう捉えるか、社会に問うてみたいですね。
事情はあるとは思いますし、違っていたものは直すしかないですが、悲劇としか言えませんね。
決算は本当に気合いを入れないと怖いです。