企業会計基準委員会は、平成31年1月16日において、以下を公表しています。
・改正企業会計基準第21号「企業結合に関する会計基準」
・改正企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」
主な改正点は、対価が返還される条件付取得対価の取り扱いについて、基準に追加したことです。
この改正を見る前に、大枠として、条件付取得対価の取り扱いについて日本基準とIFRSの大きな基準差を理解しておきましょう。
詳細な説明が、デロイトのHPにありました。
(要点)
①企業結合日に計上されるのれんは、IFRSの方では追加支払いの可能性がある部分も含めて時価(公正価値)評価して取得原価を算定する関係上、条件付取得対価の時価部分だけ日本基準より大きくなる。
②その後、条件達成の可能性が確実になったとき、日本基準ではのれんを追加計上するが、IFRSでは当初のれんを修正しない考え方であり、かつ条件付対価は負債であると考えられることが多いことから、負債の時価評価として一時の損益とする。
引用元:デロイト トーマツM&A会計 実践編 第4回 条件付取得対価の会計処理
こちら、日本基準=決まったときに会計処理する、IFRS=決まってなくても見積って会計処理する、という根本的な発想の違いがあると理解しています。このコンセプトの違いは、両基準のいたるところでみられます。日本基準は製造業を中心として損益計算を重視し、IFRSは金融業のようにあるべきバランスシートを重視する会計基準ですから、当然にこのような差異になるわけです。
上記のように日本基準とIFRSでは①も②も全く取り扱いが異なっているわけですが、今回の改正は②の日本基準の一部分=”対価の一部が返還されるときの取り扱い”に関して、明確化が行われたものです。
具体的な基準の改正は、こちらを見ていただければよりわかると思います。
適用は、平成 31 年 4 月 1 日以後開始する事業年度の 期首以後実施される企業結合からとなりますので、該当する可能性がある場合は、要注意です。