【有価証券報告書 注記の訂正事例でわかる作成/記載要領】

 

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訂正報告書って何?

それは、既に提出した有価証券報告書などの法定書類を訂正するために提出・公表される、法定書類です。

投資家からすれば必要な情報だということで、提出要件に該当すれば企業から随時提出・公表する必要があります。

しかし、経理や会計士からみれば、本当に恐ろしい制度です。

なぜならば、訂正報告書が提出されるということは、過去の提出書類の誤りを認めることになるため、

その屈辱・やりきれない思いを抱えながら、訂正報告書の作成という非生産的な作業に従事しなければならないためです。

訂正報告の件数

ところで、この訂正報告書の年間提出件数をご存じでしょうか。

実は有価証券報告書の「経理の情報」に関する部分だけで、毎年100~300件の数百件レベルで公表されています。

全上場会社を4000社とすると、「少ない」と言い切るには勇気が要る数字だと思います。

このシリーズの目的

このような状況を踏まえ、各種主体によるいろいろな会計雑誌・サイト・ブログなどで、訂正報告書について様々な角度で分析されているところであります。

しかし、現行制度における訂正報告書では、その訂正理由が必ずしも詳細に記載されるとは限らず、各企業の開示に委ねられている部分があります。

したがって、訂正報告書の詳細を正確に把握できるのは監査法人や金融庁等のごく限られた組織、あるいは当事者に限られるのが通常です。

つまり、分析すべき「真の理由」は、一般の投資家や実務家にとってはよくわからないままであることが多いのです。

またその真の理由を常時追究し公表している専門家も、実務の世界ではそう多くはないと思われます。

だが、EDINET等で公表されている訂正報告書をよく読むと、提出理由を合理的に推定できる事例も多いです。

そして、実はその内容こそ、会計戦士、とりわけ制度決算に関わる方々が知っておくべきものであることも多いと、私は考えます。

これこそが、本ブログで訂正報告書の発生原因を研究することに決めた理由です。

自分が知らないところで似たような境遇の誰かが、苦しい思いをしている(またはすでにしてしまった)のです。

だったら、まずはその事実をキャッチし、反省材料を分析し、自社が同じ過ちを繰り返さないように予防線を張る努力を実行する・・・

その蓄積をもとに、より訂正が発生しにくい社内体制を考えていくことも必要ではないでしょうか。

もちろん、有価証券報告書をはじめ、開示制度で提出することが要められる情報は膨大であり、他社の事例を分析することでそのすべての誤りを防げるわけではないです。

また、制度対応としては、現在の自社の体制で十分であるとお考えの方も多いと思います。

しかしそれでも、訂正内容の事実関係、誤りの傾向や原因分析を通じて、事例により得られる知識を自分の血肉とすることで、訂正を事前に防ぐ可能性を高めることはできるのではないかと信じています。

または、本当に現在の経理体制で問題がないか、見直すきっかけにもなるかもしれません。

重要情報を扱うすべての会計戦士が、自信をもって業務に邁進することができるように、できる限りの情報提供をしていきたいと考えています。  

記載実績一覧

これまで記載いたしました、実例をもとにした記事は以下の通りです。

会計処理全般

税効果会計注記

金融商品注記

リース注記

退職給付注記

キャッシュ・フロー計算書

セグメント注記

関連当事者注記

ストック・オプション

一株当たり注記

IFRS

その他注記

経理の状況以外

 

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